高価な建設ICTを用いた“i-Construction”は「ホントに儲かる?」コベルコ建機が真相を明かす第5回 建設・測量生産性向上展(1/3 ページ)

昨今は、IoTセンサーや空間処理技術を用いたマシンガイダンスや遠隔操作を備える高額なICT建機が市場に現れてきている。だが、3次元測量や情報化施工も含め、i-Constructionを活用することは、建設会社に費用対効果が見込める、言うなれば「本当に儲かる」のだろうか?

» 2023年09月12日 16時22分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 コベルコ建機 新事業推進部 新事業企画グループ マネージャー 関口伸吾氏は、「第5回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2023)」(会期:2023年5月24〜26日、幕張メッセ)の特別セミナーで「実際どうなの?i-Construction」をテーマに講演し、従来工事とICT施工を徹底比較し、得られるメリットやコストなどを赤裸々に論じた。

 コベルコ建機では、国土交通省が推進するi-Constructionに沿った建設ICTを活用した製品やサービスを展開。しかし、関口氏は、コベルコ建機の製品/サービスに限らず、「i-Constructionには金がかかる」というイメージを持つ人が多いと話す。最近でこそ、意外と売上増との結果論が語られることが増えたが、i-Constructionの導入前に収支のシミュレーションや分析を行う例は極まれのようだ。

 そこで関口氏は、i-Constructionの各種技術を導入するにあたり、「従来と比べて儲かるか」をテーマに、関口氏ならではの収支の分析結果を公開した。収支は、あくまでコベルコ建機と関口氏による独自ロジックによるもののため、一般的なケースに適用できるわけではない。しかし、一例として紹介した黒字化の手法は、建設業界なら誰にでも役立つヒントとなるだろう。

コベルコ建機 新事業推進部 新事業企画グループ マネージャー 関口伸吾氏 コベルコ建機 新事業推進部 新事業企画グループ マネージャー 関口伸吾氏 写真は全て筆者撮影

i-Constructionの費用対効果を独自に検証

 関口氏は、コベルコ建機で現職に携わる以前、測量/コンサルティング会社、製缶/施工会社、測量機代理店などを経験している。こうした経験を通じて、土木系の測量、生産管理、ソフト開発、i-Constructionまでにわたる幅広い分野の知識と経験を得た。今回の講演では、特に積算にフォーカスし、i-Constructionに関する費用対効果を明らかにした。

 i-Constructionの概要として関口氏は、まず起工測量から電子納品までに至る5つのステップを説明。それぞれのステップを分析・比較し、「いくら儲かるか」を数字で示した。

i-Constructionを構成する5つのプロセス i-Constructionを構成する5つのプロセス

 起工測量では、従来のようにトータルステーションを使った測量と、現在の主流であるドローンやレーザースキャナーを使った3次元設計データの作成にどのくらいのコスト差があるかを例示。ただ、ICT施工による3次元設計データの作成では、もう少し発展させることで従来の現場での丁張りも不要になる。具体的には、データをICTバックホーなどに入力すれば、電子丁張りとしての利用が可能になり、現場での丁張り作業分のコストも削減できる。

3次元設計データは、ICTバックホーと連携することで“電子丁張り”として活用可能に 3次元設計データは、ICTバックホーと連携することで“電子丁張り”として活用可能に

 他にも、ICT施工や施工管理、電子納品でも、従来方法とICTを活用したi-Constructionで、費用面でどのくらいの差があるのかを比較した。

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