NEC、鹿島建設、NTT東日本は、電柱の光ファイバーを振動センサーとして活用し、建設工事に伴う振動を広範囲かつリアルタイムに把握するモニタリング技術の確立に乗り出した。
NEC、鹿島建設、NTT東日本は2023年8月24日、光ファイバーセンシング技術を応用し、既に電柱に共架している通信用光ファイバーを振動センサーとして活用する実証実験に2022年1月〜2024年3月の期間で実施すると明らかにした。
実験の結果、新たにセンサーを設置することなく、通信用光ファイバーでトンネル掘削工事の振動検知に世界で初めて成功したという。
都市部や住宅街で工事による振動が及ぼす影響については、周辺環境への配慮、住民の不安軽減のためにも、常に把握することが求められている。しかし、工事に起因する振動はさまざまで、どの範囲にどの程度の影響を及ぼすかを予測することは難しいのが現状。計測のために、現場敷地外に複数の振動計を長期間設置することや人手による巡回計測にも限界があった。
そうした課題に対応するため3社は、NTT東日本の通信用光ファイバー、NECと鹿島建設の光ファイバーセンシング技術を用い、トンネル掘削工事に起因する振動を計測することで、工事振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化する実証実験を行った。
実験では、トンネル掘削工事現場の周辺に敷設されている通信用光ファイバーの上部側終端部にセンシング装置を取付けた。建設機械などに起因する振動が、周辺の地盤から電柱を経由して一般通信用光ファイバーに伝わる状況を2022年1月から2023年6月までモニタリング。通信用光ファイバーを用いたセンシングにより、検知した振動から工事に起因する振動を抽出して、地図上にマッピングした処理の結果、トンネル掘削工事による振動の影響範囲を24時間常時かつ面的に可視化することができた。
3社は今後、成果を踏まえ、さまざまな工事振動を常時計測し、可視化する方法の検討を進め、将来は周辺地域への影響を最小限に抑えた工事の実現に貢献することを目指す。
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