半導体メーカーのRapidusは、北海道千歳市に半導体工場の新設を計画しており、鹿島建設が設計・施工に選定された。計画では2023年9月に着工し、ライン稼働は2025年4月の予定。
鹿島建設は、Rapidus(ラピダス)が北海道千歳市に新たに建設する最先端半導体工場のうち、「Rapidus IIM(イーム:Innovative Integration for Manufacturing)-1建設計画」の設計・施工者に選定された。IIMは、Rapidusが呼称する新しいイノベーションを起こすモノづくりの場所の意。
半導体素子や集積回路などの研究や開発、設計、製造を行う2022年創業のRapidusは、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、日本電気(NEC)、日本電信電話(NTT)、三菱UFJ銀行の8社が出資し、最先端半導体の国産化を目指す半導体メーカー。自動運転やAIなど次世代の産業に欠かせない2nm(ナノメートル)の最先端半導体を量産化するべく、2025年に試作ライン、2020年代後半には量産ラインを立ち上げることを目標としている。
計画では、北海道千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」に、半導体第1工場のIIM-1を建設する。外観は、自然豊かな北海道千歳の美々ワールドにマッチした意匠となる。
工期は、鹿島建設の設計・施工で2023年9月1日の起工式を予定し、2024年1月に躯体工事、同年4月に屋根工事に着手する。製造設備の搬入は2024年12月、ライン稼働は2025年4月の見通し。
建設中には、鹿島建設の一般的なコンクリートの製造に比べ約40%のCO2排出量を削減する「高炉スラグ」を用い、コンクリート製造時のCO2削減に取り組む。建設時にも、現地に近いところでコンクリートの構造体を作って現場に運ぶ“プレキャスト工法”で、本州ではなく北海道内でプレキャスト部材を製造して、CO2低減につなげる。
また、リデュース、リユース、リサイクル、リフューズの“4R”では、運び込む前の工場で既に決まった形にユニットを製作し、捨てるものがない部材として美々ワールドに持ち込み、あらかじめ廃棄物を減らす。他にも、分別回収のゼロエミッションヤード設置、塗装容器の使い回しやコピー用紙の両面使用など建設資材の再利用、廃棄物のトレーサビリティーなど4R対策を講じる。
さらに、騒音や振動の対策や粉塵の飛散防止に対しては、シミュレーション技術を用い、周辺の住環境に対する悪影響ができるだけ出ないよう注意を払いながらこの工事を進めるという。
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