清水建設、カナモト、シャープは、国土交通省が2023年度内に予定している配筋検査システムの社会実装に先駆け、3眼カメラ配筋検査システム「写らく」を共同で製品化し、カナモトを通じたレンタル販売を開始する。
清水建設、カナモト、シャープは2023年3月22日、国土交通省が2023年度中の開始を予定する配筋検査システムの実用化に向け、3眼カメラ配筋検査システム「写らく」を共同で製品化し、2023年4月下旬からカナモトを通じてレンタルでの販売を開始すると発表した。
配筋検査は、コンクリート構造物の建設プロセスの節目ごとに内部に鉄筋が正しく配置されていることを確認する重要な品質管理業務の1つだが、多くの人員と時間を必要とするため、業務の効率化は建設業界の重要な課題となっている。と同時に建設業界では、これまで猶予されてきた時間外労働の罰則付き上限規制の適用が、2024年4月1日に迫っており、現場業務の省力化などで働き方を改善することが急務となっている。
写らくは、本体に搭載した3つのカメラで、異なる位置から同時に対象範囲の鉄筋の配列状態を撮影し、縦や横、奥行きの3次元情報を取得する。3次元画像データは、シャープの8K映像技術をもとに清水建設と共同で開発した画像解析アルゴリズムにより、鉄筋の径や本数、配筋間隔を高精度に計測して検査結果を表示する。
現場での検証を踏まえたシステムの最適化の結果、計測時間を試作機の約7秒から約5秒までに短縮し、鉄筋検出率も99.99%を実現し、従来の検査方法に比べ、所要時間は約75%短縮することが実証されている。
また、複数の作業員が必要だった現場での検査作業は1人だけで完結し、検査業務の大幅な省人化につながり、二段筋などの複雑な配筋検査にも対応する。
さらに、国内60カ所を超える建設現場での試験を通じ、必要な商品仕様を検討したところ、幅広い現場での利用に応える耐環境性能を実装。現場の日照や天候条件、ネットワーク環境有無などからの制約を受けることなく、高精度な計測が可能となった。検査対象となる鉄筋の径や本数、配筋間隔などの事前登録に加え、作業現場でのネットワーク環境の準備も不要なため、必要なときにすぐに使える。
写らくは、国土交通省が内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の一環で、2023年度内に配筋検査システムの社会実装を目指している5つあるコンソーシアム※のうちの1つの製品化で、2023年4月下旬からカナモトを通じて日本全国でレンタルを開始する。レンタル期間は自由に設定可能で、検査を行う日数に合わせて利用できる。
※「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」の技術保有コンソーシアム:1.清水建設/シャープ、2.IHIインフラ建設/オフィスケイワン/アイティーティー/千代田測器/インフォマティクス、3.鹿島建設/三菱電機/三菱電機エンジニアリング/建設システム、4.三井住友建設/日立ソリューションズ、5.JFEエンジニアリング/ACES
なお、写らくは現場の日照や天候条件、ネットワーク環境の有無などの制約を受けることなく、複数の作業員の手作業による従来の検査方法と比べても遜色ない高い精度で計測できることから、2022年の「第4回 日本オープンイノベーション大賞」の「国土交通大臣賞」を受賞するなど、各選考団体から高い評価を得ているという。
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