NEDOと大阪大学の研究グループと協栄産業は、1回のスキャンでコンクリート構造物内の鉄筋の配筋状態を非破壊で可視化できる新たなセンサーモジュールを開発。2次元スキャナーに搭載することで作業時間を大幅に短縮した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と大阪大学産業科学研究所・千葉大地教授らの研究グループは、独自に開発した永久磁石法を発展させ、1回のスキャンでコンクリート構造物内の鉄筋の配筋状態を非破壊で可視化できる新たなセンサーモジュールを開発。これを2次元スキャナーに搭載することで作業時間を大幅に短縮する研究成果を発表した。研究グループと協栄産業は2023年7月から共同研究を開始し、今回開発した技術を用いた小型スキャナーの製品化を目指す。点検業務の効率化や、コンクリート構造物の老朽化などによる事故の回避などに貢献するとしている。
コンクリート内の鉄筋の非破壊検査では、電磁波レーダー法のスキャナーが普及しているが、電磁波の反射時間がコンクリートの湿潤状態や空洞などの影響を受け、正しく計測できないという課題があった。また、センサーの位置を少しずつずらしながら1次元データをスキャンし、それをまとめて2次元画像にして配筋状態を可視化していたため、計測に時間を要することが課題であった。そこで、研究グループは、永久磁石と一対の磁気センサーを組み合わせたセンサーモジュールを用い、鉄筋の埋設深さや鉄筋径を正確に計測できることを実証した。
これを発展させ、多数の磁気センサーを向かい合って整列させ、近傍に棒状の永久磁石の配置により、1回のスキャンで配筋状態を2次元画像として可視化できる多対センサーモジュールを開発した。この多対センサーモジュールをロボシリンダーに搭載した2次元スキャナーの試作機で、コンクリート中の配筋状態を2次元画像で取得できるか検証したところ、縦方向約0.5メートル、横方向(スキャン方向)約1メートルの配筋状態の2次元画像を約45秒で取得した。従来の方法に比べ、作業時間を30分の1以下に短縮した。
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