iPad Proで配筋検査を手軽に効率化、AR技術を活用した現場支援アプリ「BAIAS」建設技術展2022近畿(1/2 ページ)

深刻化する建設現場の人手不足への対応に向け、身近なデジタルデバイスを活用して業務効率化を目指すアプリの開発が加速している。そのうちの1つエコモットの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、iPad Proのみで鉄筋のピッチや径の計測を完了させられる。鉄筋コンクリート構造物の配筋検査は、事前準備や計測、測定結果の入力など多くの作業を必要としているため、手軽に作業者の負担を解消できるツールとして注目を集めている。

» 2023年01月12日 07時11分 公開
[宮裡將揮BUILT]

 エコモットは、「建設技術展2022近畿」(会期:2022年11月9〜10日、インテックス大阪)で、AR技術を活用して手軽に鉄筋コンクリート構造物の配筋検査ができるアプリ「BAIAS(バイアス)」を展示した。BAIASは、既存のiPad Proにアプリをインストールするだけで、鉄筋のピッチや径の3D計測を手軽に行うことが可能となる。取得した計測データをクラウドと同期することで、帳票への自動出力もできる。

AR技術で鉄筋の位置や形状を瞬時に計測可能に

エコモットの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、iPad ProのLiDARスキャナー機能を用いて、鉄筋にかざすだけで配筋検査に必要な情報を検出できる エコモットの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、iPad ProのLiDARスキャナー機能を用いて、鉄筋にかざすだけで配筋検査に必要な情報を検出

 鉄筋の配筋検査は、従来は測定箇所ごとに鉄筋にマーキングし、検尺ロッドを用いて計測する必要があるために、複数人で行う必要があった。しかし、BAIASであれば、アプリですぐに計測できるため、1人でも作業が可能となり、現場作業の省人化や省力化の効果が期待される。

 エコモットが展示したBAIASは、iPad Proに搭載されている“LiDARスキャナー”機能を用いて、配筋検査に関する数値を自動計測できるツール。

 アプリを起動させて計測範囲を設定して鉄筋を撮影すると、LiDARセンサーによって取得した点群から配筋検査に必要な情報を検出する。AR機能で画面内の鉄筋に重ねる形で鉄筋の配置や間隔、鉄筋径の数値をマーカーのように表示できるため、検査結果を誰でも分かりやすく確認できる。

 効率化できるのは現場作業だけではない。クラウド上に鉄筋の画像や計測値のデータを保存すれば、設計図と実際の配筋状況を比較できる帳票をPDFとして自動出力が可能となる。鉄筋の撮影場所や部位、位置、平均間隔や最小・最大間隔、撮影日などをひもづけることができるため、作業員の事務作業の効率化に大きな効果を発揮する。今回のブース展示で来場者の説明にあたった説明員は「ブースの来場者からは、作業の効率化を手軽にできる点に大きな興味を持っていただいている」と反響を語った。

BAIASで鉄筋の配置や間隔のデータを取得した画面。ARでマーカー付けして誰でも分かりやすく検査が可能に BAIASで鉄筋の配置や間隔のデータを取得した画面。ARでマーカー付けして誰でも分かりやすく検査が可能に

 こうした反響はアプリが備える機能面だけでなく、既存のiPad Proにアプリをインストールするだけで活用することができる点にも関心が集まっている。先ほどの説明員は「今では誰もが使えるスマホの延長線上で配筋検査ができるため、あらゆる人々に扱いやすいツールとなった」と説明する。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.