鹿島建設は、大阪府大阪市淀川区の超高層分譲マンションに、自社開発の制免震技術を初導入した。
鹿島建設は、巨大地震に伴い発生する長周期地震動による超高層建物全体の揺れを、従来の耐震/制震架構と比べ、大幅に低減する制御層制震構造「KaCLASS(Kajima Control Layer Advanced Structural System)」を開発したと2023年6月に発表した。
KaCLASSは、「同調質量ダンパ(Tuned Mass Damper)」の原理を応用した制免震技術。建物高さの70%程度の位置に設けた制御層が地震時に変形することで、制御層から上の躯体には免震効果、下の躯体にはTMD制震効果を与え、建物全体に大きな制御効果を与える。
制御層が地震エネルギーを大きく吸収し、建物全体の揺れを大幅に低減するため、巨大地震による長周期地震動にも従来の耐震/制震架構と比較して、少ない柱梁で高い安全性を確保し、開放的な空間設計が可能となる。
建物の耐震性能を高めるには、制震装置が有効とされるが、建築計画上は設置台数に限りがある。そこで鹿島建設は、制御機構を制御層に集約して配置し、地震エネルギー吸収性能を格段に高める新たな制免震工法の開発に着手するに至った。
既にKaCLASSは、鹿島・高松JVが施工を手掛ける阪急阪神不動産の39階建てタワーレジデンス「ジオタワー大阪十三」に採用されている。高耐力や高靭性を備えた鹿島建設の超高層鉄筋コンクリート造技術「HiRC工法」にKaCLASSを搭載することで、居室空間から柱梁を削減して自由度の高い居室空間となり、巨大地震への高い安全性も両立させた超高層マンションになるという。
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