東急建設は、自社で開発したトンネル全断面点検システム「iTOREL(アイトーレル)」が第10回ロボット大賞の優秀賞を受賞したことを発表した。実証実験ではロボット技術により点検作業人数を4割、内業時間を18.5%を削減可能との数字が出ており、大きな効果を期待できる。同賞では実用的な点やその将来性が評価された。
東急建設は2022年10月20日、自社で開発したトンネル全断面点検システム「iTOREL(アイトーレル)」が第10回ロボット大賞の優秀賞を受賞したことを発表した。受賞したのは「社会インフラ・災害対応・消防分野」で、トンネルの条件によってガントリーフレーム型や高所作業車型に使い分けられる点など実用的な点やその将来性が評価された。実証実験ではロボット技術により点検作業人数を4割、内業時間を18.5%を削減可能と大きな効果も期待できる。今後は、防災や減災の観点からシステムの社会実装を目指す。
iTORELは、人による近接目視と打音検査の点検業務をロボット技術によって代替する。覆面コンクリートのひび割れと浮きを自動検出する点検ユニットの搭載により、作業時間の短縮や省力化を実現する。そのほか、メンテナンスの際にもサイクルを構築する上での重大なひび割れや浮きについても高精度に取得が可能となっている。
ロボット大賞の審査員は、高度経済成長期に造られた多数のインフラの老朽化から点検作業のボリュームの増大を指摘し、「打音検査ユニットとラインセンサーによる高精度ひび割れ検出システムは、実用的なものが開発されており活用の期待が大きい」と評価した。
なお、iTORELは、国土交通省関東地方整備局の「現場ニーズと技術シーズのマッチング」の標準化推進技術にも指定されている。
ロボット大賞では、将来的に市場創出の貢献度や期待度が高いとされるロボットやそれらに関連するビジネスなどを表彰。建設業界でも人材不足に伴うICT化が進むなか、人間の役割を補うためこうしたロボットの役割が早期に求められている。
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