有効求人倍率が上昇し続けている要因としては、好調な建設市場を背景とした求人数の増加に対し、求職者数が大幅に減少していることが推察される。
建設技術者の有効求人数は、2012年度の4万4815人から2022年度には6万1500人に増加しており、10年間で37.2%増えている。一方、建設技術者の有効求職者数は、1万8433人から9415人と、10年間で48.9%減少と半減している状況だ(図表3)。
建設技能工も同様に、有効求人数が2012年度の8万863人から2022年度の11万9371人に増え、10年間で47.6%増となったが、有効求職者数は2012年度の4万929人から2022年度の2万912人となり、48.9%減と半減している(図表4)。
こうした結果、月平均就職件数も、建設技術者は2012年度の1610件から2022年度には603件(同62.5%減)、建設技能工は5326件から1990件(同62.6%減)と大幅に減少しており、建設技術者・技能工ともに人材採用が極めて困難な状況にある。
建設技術者と建設技能工の人材不足感について、厚生労働省の「労働経済動向調査」で労働者過不足DIの推移をみると、2020年にやや低下したものの、高止まりの状況にあるといえる。2023年5月時点での最新の公表結果(2023年2月調査)では、建設技術者の労働者過不足DIが62ポイント、建設技能工は52ポイントであり、今後についても人材需給は極端に不足した状況が続くことが予測される(図表5)。
※労働者過不足DI(Diffusion Index)とは、労働者が「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と答えた事業所の割合を差し引いた値であり、数値が大きくなるほど人材不足感が高い
ヒューマンリソシア
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