本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、2022年末に公表された国勢調査の集計結果をもとに、建設技術者/建設技能工の動向を分析していく。
5年ごとに行われる国勢調査が2020年に実施され、2022年末には抽出詳細集計結果が発表された。今回は、抽出詳細集計結果を踏まえ、建設技術者(建築技術者+土木測量技術者)と建設技能工の動向についてまとめた。
■本レポートの要旨
・建設技術者は増加するも、高齢化と若年就業者の減少が顕著
・建設技術者の女性比率は上昇傾向だが、他業種を含めた技術者平均を下回る
・建設技能工は減少傾向が続くと同時に、高齢化および若年就業者の減少も進展
■建設技術者は2015年比では6.6%増加するも、2000年比の約56%水準にとどまる
総務省の「2020年国勢調査」の結果によると、建設技術者数(建築技術者+土木測量技術者)は、「2015年国勢調査」比の6.6%増となる50万6450人となった(図表1)。過去に遡(さかのぼ)ると、2000年の89万7480人から2005年には53万9483人にまで急激に減少。その後、2010年の45万8480人を底に増加傾向にあるが、2020年時点は2000年比の約56%の水準にとどまっている。
また、建設技術者を建築技術者と土木測量技術者に分け、就業者数の推移をみると、2020年には建築技術者は対2015年比3.1%増加の24万2580人、土木測量技術者は同9.9%増加の26万3870人となった(図表2)。しかし、2000年と比較すると、建築技術者数は約63%、土木測量技術者数は約52%の水準に停滞している。
■建設技術者の65歳以上の比率は16.8%と、高齢化が急速に進む
建設技術者の年齢階級別構成比では、65歳以上の比率は2000年の3.3%から、2005年3.7%、2010年5.7%、2015年11.1%、2020年16.8%と上昇傾向が続く(図表3)。
一方、34歳以下の比率は、2000年の29.8%から2020年には18.4%にまで低下している。また、業種問わず全産業の全ての職種と建設技術者を年齢構成比で比較すると、2000年時点では、建設技術者の65歳以上の構成比は3.3%、全職種平均では7.8%だったが、2020年には、建設技術者の65歳以上の構成比は16.8%となり、全職種平均である15.1%を上回る結果となった(図表4)。このことから、建設業においては、建設技術者の高齢化が急速に進んでいることが分かる。
続いて、高齢化が進む建設技術者について、その内訳を建築技術者と土木測量技術者で分析すると、建築技術者に占める65歳以上の構成比は2000年の3.7%から2020年には20.7%までに上がり(図表5)、土木測量技術者は同2.9%から同13.3%までに上昇している(図表6)。特に、建築技術者では65歳以上の高齢比が20%を超え、高齢化への対応は喫緊の課題といえる。
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