■建設技能工の65歳以上の比率は2020年には17.2%に上昇、高齢化は深刻に
建設技能工における年齢階級別構成比の推移をみると、65歳以上の比率は2010年の8.1%から2015年は13.1%に、2020年は17.2%となり、建設技術者と同じく高齢者の割合が増えている(図表10)。34歳以下の比率は2010年の23.4%から、2015年は20.3%、2020年は19.1%と低下傾向にあり、就業者の急速な高齢化への対応と若手人材の確保は喫緊の課題だと考えられる。
■建設技能工の女性比率は2.6%で際立って低い
建設技能工の女性比率の推移は、2010年の1.9%から2015年は2.0%、2020年は2.6%と徐々に上昇。しかし、業種を問わず全ての職種で、就業者の女性比率は2020年に45.3%で、製造現場での技能職にあたる生産工程従事者の女性比率は2020年で30.1%となっている(図表11)。建設技能工は、力仕事や危険な作業が多いことを踏まえながらも、就業者数が減り高齢化が進むなかで女性の活用を図ることも、建設技能工の人材確保に重要だ。
ヒューマンリソシア 人材紹介事業部長 高(高ははしごだか)橋良久氏は、分析結果を以下のようにコメントしている。
5年ごとに実施される国勢調査から、建設業の技術者と技能工の動向を経年で比較してみると、事業運営や事業拡大に必要である“建設技術者”の高齢化の進展が顕著に表れる結果となった。
高齢化の対策として、減少している若年層の入職者を増やすための取り組みが必要であると同時に、経験豊富で、熟練技能を有するシニア人材の活躍を促進するため、柔軟な働き方の推進や処遇改善、多様な勤務形態の導入など、制度面での対策も重要になる。
また、建設業で働く人材の流動性を高め、他業種から建設業への転職者を増やす施策も不可欠だ。そのためには、残業や勤務時間が長いといった雇用条件の改善や古い体質といった建設業のイメージの払拭(ふっしょく)、多様な価値観や働き方への対応など、中長期的な取り組みが必要になるだろう。
ヒューマンリソシアでは、建設技術者に特化した人材紹介サービスを展開しており、転職希望者と顧客企業のマッチングを行っている。建設各社の専門職・技術職人材の確保、そして建設業界の活性化に寄与できれば幸いだ。
建設HR
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