内神田で開発中の延べ8.2万m2のテナントオフィスビルでZEB Ready認証を取得、三菱地所プロジェクト

三菱地所は、「(仮称)内神田一丁目計画」として、2025年11月末の竣工に向け、東京都千代田区内神田一丁目で開発を進めている高層テナントオフィスビルで、「ZEB Ready(事務所部分)」認証を2022年9月22日付で取得した。同社が開発を手掛けた高層テナントオフィスビルでZEB Ready(事務所部分)認証を取得したのは今回が初だという。なお、内神田一丁目計画を皮切りに、今後同社が開発する新築建物では原則ZEB水準の環境性能を備える。

» 2022年11月01日 07時00分 公開
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 三菱地所は、「(仮称)内神田一丁目計画」として、東京都千代田区内神田一丁目で開発を進める高層テナントオフィスビルで、「ZEB Ready(事務所部分)」認証を2022年9月22日付で取得した。

高効率機器や昼光利用制御などに対応した環境技術の採用が認証取得の決め手に

 内神田一丁目計画は、地下3階/地上26階/塔屋2階建ての高層テナントオフィスビルを開発するプロジェクトで、日本橋川に隣接する立地を生かし、新しく架橋する「人道橋」の整備を通じて神田エリアと大手町エリアをつなぐとともに、人道橋と接続する神田側の滞留空間として約1000平方メートルの広場を設けることで、両エリアの回遊性と価値の向上に貢献する。

 建物では、夏期の日射負荷を軽減すべく、メインファサードを北面開口とする採光計画を採用し、LowE複層ガラスを導入する他、高断熱材などの使用により施設の外皮性能を強化することで、建物全体のエネルギー負荷低減を図る。

建物の完成イメージ 出典:三菱地所プレスリリース

 加えて、設計検討の段階で具体的な技術項目の検討を重ねた結果、全熱交換器をはじめとする高効率機器や昼光利用制御などに対応した環境技術を採用することが決定し、ZEB Ready 認証の取得に至った。

 なお、大手町エリアの面的エネルギーを活用した地域冷暖房(DHC)を神田エリアに延伸し、建物の熱源としてDHCの冷水と温水を受け入れることを決めたことも、ZEB Ready 認証の取得に寄与した。

 また、計画地が江戸時代に木材などの荷上場だったという歴史的背景も踏まえ、地上2〜4階の「ビジネス・産業支援施設」や地上5〜25階に配置する「リフレッシュコーナー」の露出天井仕上げに、MEC Industry製の新木質建材「MIデッキ」を活用するだけでなく、地上1階に設置するオフィスエントランスホールの壁と天井仕上げにも木材パネルを使う。

1階の「オフィスエントランスホール」(左)と「博多深見パークビルディング」の「MIデッキ」使用例(右) 出典:三菱地所プレスリリース

 木材パネルには、これまで建築資材としての利用が難しかった原木丸太端材から製造できる小角材や小幅板などを幅方向に接着した幅はぎ板を用いることで、一般製材に比べて原木丸太の歩留まり率を高め、より長期的な炭素の固定化に貢献する。

 ちなみに、建物に採用する省エネルギー施策については、東京都千代田区の三菱地所本社ビルで実験を行うことにより、エネルギー効率を向上しつつ、快適性を両立できることを確認している。こういった実証実験を今後も本社ビルで実施し、新築と既存も建物でエネルギー消費性能のアップを推進する。

内神田一丁目計画の概要

 建物は、高さが約130メートルの地下3階/地上26階/塔屋2階建てで、延べ床面積は約8万5200平方メートル。所在地は東京都千代田区内神田一丁目31番11外で、敷地面積は約5100平方メートル。

 主要用途は、事務所、店舗、ビジネス・産業支援施設、駐車場など。設計・監理は三菱地所設計が担当し、施工は大成建設が担い、竣工は2025年11月末を予定している。

建物の断面図(左)と位置図(右) 出典:三菱地所プレスリリース

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