大林組とトヨタが遮音壁のスピード施工法を改良、首都高工事で取り外しと取り付けを同時施工施工

大林組は、トヨタ自動車の未来創生センターと共同開発した高速道路の低層遮音壁を短時間で取り付ける「ハイウェイパネラック」工法を改良し、遮音壁の取り外しと取り付けの同時施工を可能にした。

» 2022年04月13日 10時00分 公開
[BUILT]

 大林組は、トヨタ自動車の未来創生センターと共同で、高速道路の低層遮音壁を短時間で更新する「ハイウェイパネラック」工法のさらなる合理化のために装置を改良したと2022年3月末に公表した。

遮音壁の取り外しと取り付けの同時施工で、車両台数と移動回数を大幅削減

 高速道路の遮音壁を対象にした施工では、一般車両の車線規制や規制期間の削減による渋滞緩和などが求められるため、施工の合理化が重要とされる。しかし、4トンクレーン車両を用いた従来の装置では、鉄骨フレームの長さから作業スペースが制限され、遮音壁の取り外しと取り付け施工を同時に行うことは困難だった。

 今回、施工装置を大型化し、遮音壁の取り外しと取り付けの同時施工を可能とすることで、従来よりも作業車両台数と車両移動回数を削減した。

進化版「ハイウェイパネラック」工法での施工状況 出典:大林組Webサイト

 作業車両は、10トントラックを用いて装置の大型化を図り、作業ステージの拡張に加え、装置への遮音壁ユニット搭載数が2個から4個と2倍に増加したことで、遮音壁の取り外しと取り付けの同時施工が可能になった。そのため、作業に用いる車両台数と作業日の車両移動回数減らすことが実現し、作業1日当たりでそれぞれ約2分の1にまで抑えられる。

従来の4トンクレーン車両による「ハイウェイパネラック」工法(左)と進化版の10トントラック車両を用いた「ハイウェイパネラック」工法(右) 出典:大林組Webサイト
取り外し(左)と取り付け(右) 出典:大林組Webサイト

 鉄骨フレームは、施工時に約5センチの高さで取り付けが必要となるのに対し、道路法(車両制限令)で定められている車両高さの最高限度は原則3.8メートルのため、運搬してきた鉄骨フレームを一段上昇させ、施工上の高さを確保しなくてはならない。また、鉄骨フレームの昇降には、4本の電動昇降装置(動的シリンダ)を用いることで、施工時に必要となるフレーム高さを確保するとともに、施工場所の道路傾斜に応じて装置に求められる車両水平精度も確保できる。

 既に首都高速道路の壁面ソーラーパネルを元の遮音壁に復旧する工事で、新たな装置を導入し、有用性を確認している。また、同工事では、トヨタ自動車が中心となって、トヨタ流の“カイゼン”として開発した3D可視化が可能な作業シミュレーション技術も採り入れたという。事前に作業工程をシミュレーションすることで、パネル交換と支柱穴あけを担うそれぞれの作業員の待ち時間を解消したほか、疲労の蓄積と回復を考慮できる「筋疲労モデル」で、作業員の肉体的負担を低減させることにも活用した。

シミュレーションによるカイゼン前後の待機時間比較 出典:トヨタ自動車 未来創生センターWebサイト

 大林組は、改良したハイウェイパネラック工法を今後の高速道路遮音壁更新工事に活用していくとともに、高速道路のリニューアル工事に向けた技術開発を進め、交通インフラの長寿命化に貢献していくとしている。

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