ダイダンは、360度カメラと測量技術で作成した3Dモデルに、施工プロセスの“時間要素”を加えた「4D」の更新工事向け施工計画検討ツールを開発した。施工プロセスを3Dアニメーションで表現して共有することで、工事着手前に設備機器の搬入/搬出ルートの計画立案に加え、若手技術者を対象とした新たな教育手段としての活用が見込まれる。
ダイダンは2022年2月22日、更新工事の施工計画に掛かる労力を大幅に低減するとともに、円滑な情報共有を促進する施工プロセスの可視化ツール「Construction Visualizer 4D」を開発した。
設備機器の更新工事は、機器や配管など設置状況の調査とその図面のデータ化、それに基づく施工計画の策定に多くの労力が費やされていた。
ダイダンが課題解決のために実用化したConstruction Visualizer 4Dは、360度カメラと写真測量技術を用いて、工事対象となる現況の機械室、機器、配管などの3Dモデルデータを生成し、計画した施工プロセスを3Dアニメーションで表現する可視化ツール。機器の搬入や搬出といった施工計画を3D動画でチェックできるようになり、安全で効率的な施工計画の立案を支援するとともに、現場調査に掛かる工数の大幅な低減が見込める。また、施工計画の情報共有も容易になるため、発注者や作業者とのスピーディーな意思決定につながる。
機械室の更新工事に導入した事例では、対象の機械室と搬入経路全体を3Dモデル化し、空調機の分割搬出や搬入計画を3D動画で検討。その結果、現地調査時間の短縮と、搬出経路確保のための解体工事範囲の縮小により、10%のコスト削減を達成した。
また、執務を継続したままの大規模改修工事(居ながら工事)では、施主や作業員と施工計画の内容を3D動画で細部まで共有することで、工期、品質、安全を損なうことなく、入居者の業務に支障をきたさずに工事が完了したという。
なお、Construction Visualizer 4Dは、国土交通省の「令和2年度 i-Construction大賞 施工・業務部門」優秀賞に選出されている。
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