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» 2021年11月08日 13時00分 公開

グラデーション色の自由曲面カラーベンチを3時間で“3D印刷”、清水建設3Dプリンティング

清水建設は、3Dプリンティング用の繊維補強モルタル「ラクツム」を利用し、グラデーション調にカラーリングされたコンクリートベンチを造形する技術を確立した。今回の技術では、プリント材料には、ラクツムに顔料を混練した「カラーラクツム」を使用。そして、材料押し出し方式の3Dプリンティング装置に色調の異なるカラーラクツムを順次投入し、波面をモチーフにデザインされた自由曲面形状の背もたれ付きベンチを約3時間で一括印刷することに成功した。

[BUILT]

 清水建設は、3Dプリンティング用に独自開発した繊維補強モルタル「ラクツム」を利用し、グラデーション調にカラーリングされたコンクリートベンチを造形する技術を確立したことを2021年9月22日に発表した。

製造されたベンチは複合開発街区「ミチノテラス豊洲」に導入

 国内では、3Dプリンティング技術の活用が多分野で進む中、建設分野ではコンクリート施工への適用に向けた技術開発が進められている。そして、コンクリートの造形に型枠を使用しない3Dプリンティングは、施工の省力化と省人化に貢献することから、建設産業の慢性的な労働力不足に対する有効な解決策となると期待されている。さらに、造形する形状の自由度が高まることも3Dプリンティングを活用するメリットとされている他、在来工法では実現困難だった自由曲面形状も造形物の3Dデータさえあれば容易に構築し、意匠表現の幅が広げられる。

 上記の状況や利点を踏まえて、清水建設は3Dプリンティングの材料としてラクツムを開発した。ラクツムは、通常のモルタルに用いるセメントと砂に、長さ6ミリの合成短繊維や高性能減水剤、シリカフュームなどの混和材を付加した繊維補強セメント複合材料で、形状を保持したまま2ミリ以上の高さまで積層可能。

 ラクツムのプリント造形物は高い耐久性を備え、積層面が目視で確かめられないほど一体化し、劣化の原因となる水と空気の侵入を助長する気泡や空隙は内部にほとんど生じない。加えて、顔料を混練した際の発色が良好で、任意の色合いにカラーリングできる特性も備えている。

 一方、ラクツムの積層に利用する3Dプリンティング装置は、産業用ロボットアーム、制御ソフト、材料移送ポンプ、ノズル、レーザー距離計から成る。装置によるプリンティングは、造形物の3DCADデータから自動生成されるロボット制御プログラムに基づいて実行され、ロボットアーム先端のノズルからラクツムを一定の速度で押し出しつつ、所定の形状をプリント造形していく。

ラクツムでプリント造形した320(幅)×150(奥行き)×100(高さ)センチの自由曲面カラーベンチ。ベンチの形状は、豊洲における海の波面をモチーフに、エルゴノミクス(人間工学)に基づきデザインされたもの 出典:清水建設プレスリリース

 今回、実現したグラデーション調カラーベンチのプリンティングでは、色調の異なる同系色・4種類のカラーラクツムを使用し、ベンチの配色設計に基づき、ポンプに投入する材料を順次切り替えることで、滑らかに変化するグラデーションを表現した。また、硬化したラクツムは1平方ミリ分の12ニュートン以上の曲げ強度を有するため、造形物の強度も高く、補強せずにベンチとして使える。

調色設計したカラーラクツム 出典:清水建設プレスリリース

 製造されたカラーベンチは、2022年春に東京都江東区で、開業を予定している複合開発街区「ミチノテラス豊洲」の外構に3基設置され、来街者の休憩用設備として供用される。なお、ミチノテラス豊洲では、街区中央の広場状デッキを支える特殊形状の大型柱造形にも3Dプリンティング技術を活用している。

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