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» 2021年10月22日 13時00分 公開

発電設備向け「AI異常検知システム」を共同開発、アズビルと関西電力AI

現在、発電設備を対象にした設備異常検知システムの活用では、AIと設備の専門知識をともに有した高度人財が大量に必要とされ、加えて未知の異常は検出が難しいという課題を抱えている。そこで、アズビルと関西電力は、次世代システムとして、AIモデルを自動で構築可能な発電設備向けの異常検知システムを協同開発することに乗り出した。2021年度内にも開発を完了させ、2022年度から国内外でシステムの販売を開始するという。

[BUILT]

 アズビルと関西電力は、発電設備を対象にAIを活用した異常検知システムの共同開発を進めることで基本合意に至ったと2021年9月15日に発表した。

AIモデルをBiG EYESで自動作成することで、要員確保とモデル構築が不要に

 両社の協業は、関西電力が持つ火力発電の運転・維持管理業務を担う「O&M(Operation&Maintenance)」のノウハウや大量の運転データ及び異常検知ツール運用の知見に、アズビルが持つ異常予兆検知システム「BiG EYES」やAI開発・運用に関する経験を組み合わせることで、新たな発電設備の異常検知システムの開発を目指す取り組みとなる。

 火力発電所では監視対象となる設備が多種にのぼり、発電出力や運転環境の変動で運転状態が時々刻々と変化するので、過去の運転挙動が再現されることが少ない。さらに同一の不具合事象が再発することも稀(まれ)なため、広範な設備監視を常時行わなければならないとされる。

 しかし一般的に、AIを用いて広範な設備監視を実現するには、火力発電所とAIの両方に関する専門的な知見を有する作業員が、膨大な量のAIモデル構築と運用開始後にもモデルの維持管理を行う必要があり、その要員の確保と労力が課題となっていた。

 そこで関西電力とアズビルは、オンライン異常予兆検知システムのBiG EYESをベースに、設備異常検知の網羅性と機能構築のさらなる効率化を実現する発電設備を主たる対象とした異常検知システムを共同で開発することで合意した。

 アズビルが開発したBiG EYESは、工場/建物のプロセス、設備、製品品質、排水や大気などの環境変数を常時オンラインでモニタリングし、いつもと異なる動きを予兆の段階で検知するAIシステム。アルゴリズムは、アズビル独自技術としてFNNを用いた非線形重回帰分析(NRAF)とDTWを用いた多変量時系列パターン分析(MTSA)を実装。石油精製や食品、発電などの各種プラントや建物用熱源設備など、既に3000を超える監視モデルが稼働している。

ビュワー、サーバ、コンフィギュレータで構成する「BiG EYES」 出典:アズビル、関西電力プレスリリース

 新たな異常検知システムではBiG EYESの応用で、広域を監視するアルゴリズムを用いて異常兆候を発見し、異常兆候を重点監視するためのAIモデルをBiG EYESで自動作成する。異常兆候に合わせてAIモデルを作るため、要員確保とモデル構築、維持管理が不要となるだけでなく、これまで監視が困難とされていた未知の事象にも対応が可能となる。

発電設備を対象としたAI活用の異常検知システム概要 出典:アズビル、関西電力プレスリリース

 今回の共同開発で、従来は労力の問題から監視対象に含められなかった設備や異常事象も広く監視できるようになり、運転管理・設備管理レベルが向上することで電力のさらなる安定供給も見込める。

 両社は、2021年度中を目標に開発業務を完了し、2022年度には関西電力が提供する火力発電所の新設から保守管理までのトータルサービス「K-VaCS(ケイバックス)」の1つとして、国内外の発電事業者へ提供していく方針を発表している。

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