AI図面積算「TEMOTO」利用者データで図面のデジタル化を分析現場管理

野原ホールディングスは、建設業界共通の図面の利用についての課題、建設業界でのAI活用などについての情報を公開した。図面のデジタル化は建設プロセス全体に影響することや、多用途でのニーズが明らかとなった。

» 2021年10月13日 08時00分 公開
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 野原ホールディングスは、建設業界共通の図面の利用についての課題、建設業界でのAI活用などについての分析結果を公開した。今回の分析は、2021年3月30日に公開したAI図面積算サービス「TEMOTO」の利用ユーザーのデータに基づいている。

AI図面積算Webサービス「TEMOTO」 AI図面積算Webサービス「TEMOTO」 提供:野原ホールディングス

 同社は、建設業務において、デジタル化による生産性向上が期待される業務をランキングした。

 1位は「図面作成」で、建設従事者1,013人の49.2%である498人が回答している。またその理由として、作成時の「作業時間がかかる」「作業負荷が高く手間」に加え、「人為的ミスを誘発しやすい」「建材発注など後工程にも影響する」「その業務がアナログのままだとシステム導入や、デジタル化が進まない(デジタル化のボトルネック)」「人材不足が補える」など、建築プロセス全体に影響がありそうだということが分かった。

デジタル化で生産性向上が期待される業務ランキング デジタル化で生産性向上が期待される業務ランキング 提供:野原ホールディングス
図面作成のデジタル化を望む理由ランキング 図面作成のデジタル化を望む理由ランキング 提供:野原ホールディングス

 「手書き図面を後からでもデジタル化できると便利」「共有がしやすい」「過去の図面を活用しやすくなる」などのユーザーコメントからも、図面のデジタル化が作成タイミングに限らずニーズがあり、デジタル図面利用の期待の高さも伺える。

 TEMOTOで作成された図面の約半数は住宅関連のデータであることが判明しており、非住宅に限らず、住宅関連でも図面デジタル化のニーズがあり、より多用途での利用が期待できる。

TEMOTOユーザーデータ 建物用途 TEMOTOユーザーデータ 建物用途 提供:野原ホールディングス

 TEMOTOはま、平面図PDFに記載された情報をAIが読み取り、部屋の内法面積などから自動で概算積算データ化するWebサービスである。

 主な利用例として、総合建設会社積算部での概算積算、専門工事会社での工事規模感の確認、工務店での小規模物件の見積、不動産管理会社での現状復旧工事の見積取得など。

 現在はβ版で、期間限定で無償提供もしている。今後は、AIの図面認識精度の向上、図面種類の拡充、UIの改善などを行い、正式な製品化を目指すということだ。

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