清水建設は、同社の技術研究所で建物の設備やサービスロボット、自動運転車を統合制御するシステム「Mobility-Core」を構築した。今後は、施設および街区に自律型モビリティを活用したサービスを実装するために、日常的に人が活動する環境下で、複数のモビリティが連携するサービスの技術検証を進めていく。
清水建設はこのほど、施設や街区で自動運転車両とロボットの運行を実現する連携基盤として研究開発を進めてきた自動運転プラットフォームを利用し、建物の設備やサービスロボット、自動運転車を統合制御するシステム「Mobility-Core」を同社の技術研究所(東京都江東区)で構築し、その概要を2021年8月20日に発表した。
近年、国内では、自動運転車による送迎サービスや自律走行型ロボットを用いた配送、案内、警備、清掃サービスの実用化に向けた取り組みが増加している。これらのサービスを施設や街区に実装するためには、人や車両、ロボットが混在する空間で、自律型モビリティを安全かつ円滑に運行させるための技術が求められる。
さらに、自律型ロボットや自動運転車を使ったサービスの高度化を図る上では、エレベーターなどの建物設備を連携させるシステムを構築する必要がある。
解決策として清水建設はMobility-Coreを開発した。Mobility-Coreは、施設の自動運転管制・監視システムやエレベーターなどの設備と、建物内で稼働する車両とロボットを連携させるための基盤として機能する。
Mobility-Coreを活用することで、自律型モビリティの開発メーカーとサービス事業者は、他社のモビリティや設備との連携機能を独自に開発することが不要となり、複数のモビリティを組み合わせた施設向けのサービスを容易に展開できるようになる。
今回、同社の技術研究所に構築したシステムには、エレベーター、自動ドア、サイネージ、監視カメラ、センサーなどの設備と、ティアフォー製の自動運転電気自動車「Milee(マイリー)」、NECネッツエスアイが提供する自律走行型案内ロボット「YUNJI SAIL(ユンジ・セイル)」、自律走行型配送ロボット「YUNJI DELI(ユンジ・デリ)」を接続している。
Mobility-Coreを用いて、技術研究所では、Mileeによる敷地内の送迎やYUNJI SAILを使用し施設内の誘導などを実施。また、供用中の施設内でMobility-Coreを利用したサービスを運用するに当たり、自律型モビリティの安全な走行を支援するために、敷地と建物内の監視カメラで取得した画像をAIで分析し、モビリティ周辺の歩行者や自動車の位置を検知し、アラート情報を発信する技術を整備した。
今後、清水建設は、技術研究所でMobility-Coreを活用したサービスを運用し、実用化に向けた課題を検証するとともに、自律型モビリティの開発メーカーやサービス事業者とのアライアンスの場として施設を活用し、さまざまなサービスの開発につなげていく。
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