鹿島建設は、福岡県福岡市博多区で、同社が設計・施工を手掛けた賃貸オフィスビル「博多コネクタ」が竣工したことを公表した。
鹿島建設は、福岡酸素とともに、福岡県福岡市博多区で開発を進めてきた賃貸オフィスビル「博多コネクタ」が2021年6月30日に竣工を迎えたことを発表した。
施設の名称は、つなぐ・結ぶという意味合いのConnectと博多(HAKATA)を組み合わせた造語で、博多コネクタを利用する関係企業のつながり、人と人のつながり、そして地域や地球環境とのつながりを意識して名付けられた。コネクタのCには経済の循環、資源の循環、季節の循環(Cycle)といった意味も込められている。
計画地は、JR「博多」駅から徒歩9分の好立地にある。敷地の外周部には、ゆとりある歩行空間を設け、ウッドデッキや石、樹木などの自然素材を使い、環境を整えた。加えて、「住吉公園」と「人参公園」に足を運べる歩道「グリーンプロムナード」やウッドデッキを設えた憩いの空間「グリーンポケットパーク」なども整備した。
博多コネクタは、地上9階建てで、基準階の床面積は約1870平方メートルと広く、テナントには、福岡酸素とワイジェイカードが入居している。
建物のファサードには、深い庇(ひさし)とグレー色のガラスカーテンウォールを全周に設置し、品格と先進性を表現した。庇は、壁面を区切り、建物の圧迫感を軽減する他、執務室への日射を効果的に遮蔽(しゃへい)するため、環境負荷の低減にも役立つ。
オフィスフロアは、整形無柱のため、フレキシブルなレイアウトが可能であり、快適な執務空間を構築しやすい。屋上には、入居者に向けて、開放的な眺望と緑に囲まれた「天空庭園」を配置した。天空庭園では、鹿島建設の持つ環境技術を生かし、ビル内で発生する植物性残渣や植栽の剪定(せんてい)くずを利活用して、野菜やハーブなどを育てられる「天空菜園」を設ける。
BCP対策に関して、ビルの構造には鹿島建設が保有する制震技術「ハニカムダンパ」を採用し、電力は2つの系統から供給を受けられるようにし停電に備えている。そして、屋上には、連続で最大72時間稼働する非常用発電機を設置するとともに、非常時利用を想定して受水槽・排水槽の容量を確保した。
感染症対策としては、入居者のワイジェイカードと協力し、3密対策と非接触化に取り組む。具体的には、フラッパーゲートの顔認証システムとエレベーター行先予報システムを連動することで、非接触かつ混雑緩和によるスムーズな移動を実現する。さらに、換気容量は、想定される人口密度に即した検討結果を踏まえ、一部で増強を図るなど、ビル利用者の安全と安心を考慮している。
環境配慮については、九州電力が保有する水力発電所と地熱発電所が供給する再生可能エネルギーのみを用いてビル全館に電力を送り、脱炭素社会の実現に貢献する。また、今回の施設は建築環境総合性能評価システム「CASBEE」で「Aランク」の評価を受けている。
博多コネクタは、制振構造のS造(一部CFT造)地上9階建てで、延べ床面積は2万1449.28平方メートル。所在地は福岡県福岡市博多区博多駅前四丁目21番26号で、敷地面積は3610.99平方メートル。総貸室面積は1万5387.26平方メートル。設計施工は鹿島建設 九州支店が担当し、工期は2020年3月〜2021年6月。
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