延べ床面積10万m2の大規模賃貸オフィスビルが横浜で竣工、清水建設プロジェクト

清水建設は、横浜市のみなとみらい地区で大規模賃貸オフィスの開発を進めている。このほど、2014年5月に開業したオフィスビル「横浜アイマークプレース」に続き、オフィスビル「横浜グランゲート」が完成した。

» 2020年06月15日 07時00分 公開
[BUILT]

 清水建設が約550億円を投じ、横浜市のみなとみらい21中央地区54街区で開発を進めてきた大規模賃貸オフィスビル「横浜グランゲート」がこのほどオープンした。

揺れ幅に合わせ減衰性能が自動で切り替わる制震ダンパーを初導入

 建物の規模は、S造(免震構造)地上18階/塔屋2階建てで、延べ床面積は10万927.631万平方メートル。所在地は横浜市西区みなとみらい5丁目1番16他で、敷地面積は1万3503.78平方メートル。用途は事務所や店舗、託児施設、カンファレンス施設、駐車場で、設計・施工は一括して清水建設が担った。

横浜グランゲート 出典:清水建設

 横浜グランゲートは、2014年5月に開業した「横浜アイマークプレース」に続く、横浜市のみなとみらい21中央地区54街区でのオフィス開発プロジェクトだ。建設地は、横浜高速鉄道みなとみらい線「新高島」駅の直上に位置し、JR「横浜」駅まで徒歩7分、羽田空港まで電車で約30分と交通利便性の高い立地。

横浜グランゲート周辺のマップ 出典:清水建設

 建物の開発に当たっては、「クリエイティブな企業活動を支える次世代ワークプレースの創造」をコンセプトに掲げ、「フレキシビリティ」「環境」「ウェルネス(健康・快適性)」「事業継続性(BCP)」をキーワードに据えた付加価値の高いオフィスづくりを目指した。

 1〜2階には、店舗や託児施設、カンファレンス施設を設置しており、3〜18階はオフィススペースで、ソニーグループによる一括賃借が決まっており、2020年10月から順次入居が始まる予定だ。 

 オフィススペースの1フロアは、最大約4628平方メートルの大空間を確保しており、柔軟なレイアウトに応じる。さらに、研究開発施設やショールームなどの多様なニーズに対処するため、最高天井高3.5メートルの広々とした空間や1平方メートルあたり1000キロの床荷重に耐えられるヘビーデューティーゾーン、給排水設備を備えた「フレキシブルフロア」も4フロアを設けている。

 建物の環境性能を向上する取り組みとしては、省エネルギーと室内環境の快適性を両立する放射空調システムに加え、LED照明やコージェネレーションシステムなどを導入することで、標準ビルと比較して45%の省エネ化を実現している。放射空調システムは、不快な気流が生じず、温度や湿度のムラが少ない。また、遮音性能に優れる600ミリ角のスチール製放射パネルも採用し、設備機器などの雑音対策も施されている。

 なお、建物と室内環境の性能は、LEED認証で「ゴールド」を獲得しており、横浜市建築物環境配慮制度(CASBEE横浜)で「Sランク」を得ている。健康と快適性については、建物・室内環境評価システム「WELL認証」で事前認証を取得済みだ。

 事業継続性に関しては、巨大地震時の長周期地震動に応じられる免震システムで建物の安全性を確保している。停電時にも、供給安定性の高い中圧ガスを利用するコージェネレーション発電機や重油を燃料とする非常用発電機で、専用部と共用部に約7日間、一定の電力を供給する。免震システムを構成するオイルダンパーには、建物の揺れ幅に合わせて減衰性能が自動的に切り替わる制震ダンパー「デュアルフィットダンパー」を初導入した。

 敷地内には、豊かな緑に囲まれた広場を設け、利用者の憩いやコミュニケーションの場とするとともに、非常時には広場やカンファレンス施設を最低限開放し、帰宅困難者の受け入れや防災備蓄品、災害情報も提供する。

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