三井不動産は、2022年10月の竣工に向け、東京都港区芝五丁目で、オフィスビル「田町M-SQUARE Garden」の開発に着手した。田町M-SQUARE Gardenは、三井不動産のオフィスビルとしては初となる「ZEB Ready」認証を取得する予定だ。
三井不動産は、東京都港区芝五丁目で、オフィスビル「田町M-SQUARE Garden(エムスクエアガーデン)」が2021年8月2日に着工したことを同日発表した。
計画地は、JR「田町」駅から徒歩3分の場所にあり、都営地下鉄「三田」駅から徒歩2分のエリアにある。周辺には、大手メーカーが林立し、企業への支援と連携を行う大学などの学術機関も多く、今後も産学連携や企業の集積が期待される地域で、複数の再開発も計画されており、発展が見込まれている。
敷地内には、約500平方メートルの広場空間を整備する。広場の大部分を緑化し、仕事や休憩に使える家具を配置することで、オフィスワーカーが快適に過ごせる場を作る。さらに、キッチンカーが乗り入れる場所を確保し、賑(にぎ)わいを創出する。
田町M-SQUARE Gardenの外装デザインは、成長企業の個性と多様性を表現するとともに、周囲の商店街や建造物、緑豊かな広場との一体感を感じられる温かみのある色調とし、調和を図る。窓面は、ハイサッシとすることで、執務空間に開放感をもたらし、開口面積を適正なレベルに抑えることで、専有部内の空調負荷を減らす。
建物の1階には、広場と隣接する共用ラウンジ「Park Lounge(パークラウンジ)」を設ける。「Park Lounge」内には、多様なシーンに合わせて自由に利用できる多様な家具を配置し、社内外の打ち合わせや個人作業行えるようにする。
2〜10階のオフィスフロアは、基準階の専有面積が約730平方メートルで、整形無柱の執務空間とし、効率の良いレイアウトが可能な空間にスペースに仕上げる。また、天井の仕様は、スケルトンとし、先進企業のオフィスに見られるような開放的でクリエイティブな空間とする。天井を設置する場合は、各階の天井高は2.8メートルで、10階のみ3.2メートル。
最上階の11階には、テナントとして入居する企業の社員が利用可能なカフェスペース「Sky Lounge(スカイラウンジ)」を配置。Sky Loungeは、打ち合わせや懇親の場として役立ち、専有部以外のサードプレースとしてさまざまなシーンで使えるようにする。
新型コロナウイルス感染症対策としては、非接触式エレベーターと高性能フィルターを導入する他、トイレの金具など多くの人が接触する部分に抗菌部材を用いる。非接触式エレベーターでは、エレベーター内の行き先階と上下階ボタンを赤外線ビーム式にし、ビルのエントランスから専有部入口までの共用部入館導線を非接触化する。高性能フィルターは、専有部の空調機に取り付けるもので、粒径3.0〜10マイクロの飛沫と飛沫核の捕集率が約90%で、ウイルスの拡散を防ぐ。
環境配慮に関して、三井不動産のオフィスビルとしては初となる「ZEB Ready※1」認証を取得する予定だ。認証取得に向けて、全館にLED照明を導入し、共用部には人感センサーを採用して、オフィス専有部では昼光センサーと高効率室外機を設け、適正な照明照度の設定を行う。
※1 ZEB Ready:B Readyは、国土交通省の建築物省エネルギー性能表示制度(BELS :Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)に基づく、再生可能エネルギーを除き、1次エネルギー消費量水準を基準1次エネルギー消費量から50%以上削減したビルに与えられる認証
加えて、ペリメーターゾーンの負荷低減に貢献する外装デザインとすることで高い環境性能を実現し、年間一次エネルギー消費量を同水準の標準的な建物と比べ50%以上削減する。また、計画地の一部に太陽光パネルを設置し、外構照明に必要なエネルギーを創出する見込みだ。
BCP対策に関して、計画地は、高潮や津波による被害を受けにくい場所に位置しており、液状化の危険度が低いことが地盤調査により判明している。さらに、ビル内には、災害時に備えた72時間対応の非常用発電機を完備し、安心して働けるオフィス空間を構築する。
田町M-SQUARE Gardenは、S造地上11階建てで、高さは約50メートル、延べ床面積は9920平方メートル。所在地は港区芝五丁目26番で、敷地面積は約1790平方メートル。基本設計は山下設計が、実施設計・監理・施工は鹿島建設がそれぞれ担当し、竣工は2022年10月を予定している。
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