鹿島建設は、東京ガスと共同で、都市ガス機器利用時に生じる排気ガスのCO2を用いて、CO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM」の製造を開始した。
鹿島建設は、同社が開発したCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM(スイコム)」に関する東京ガスとの協業をスタートし、その内容を2021年7月7日に公表した。今回の協業では、都市ガス機器利用時に生じる排気ガスのCO2でCO2-SUICOMを製造している。
さらに、両社は、東京ガス千住テクノステーションで、CO2-SUICOMの技術を活用し、地先境界ブロックの試験製造を行い、都市ガス機器使用時の排ガスに含まれるCO2で、CO2-SUICOMを固定化させて生産できることを確認し、このCO2-SUICOMを東京ガス日立LNG基地の外構工事に導入した。
排ガスなどに含まれるCO2を回収し、有効活用するカーボンサイクル技術は、気候変動対策の1つとして注目されている。なかでも、コンクリートへのCO2固定化は、効果的なテクノロジーとされており、CO2-SUICOMでは、1立方メートル当たりのコンクリートブロックで、約300キロのCO2削減を実現している。
CO2-SUICOMは、「CO2-Storage Under Infrastructure By COncrete Materials」の略称で、コンクリートが固まる過程で二酸化炭素を吸い込む。具体的には、セメントの半分以上を特殊な混和材「γ-C2S」や産業副産物に置き換え、排気ガスに含まれるCO2をコンクリートに大量に固定することで、コンクリート製造時のCO2排出量をネットでゼロ以下とし、大気中のCO2を減少させられる。
材料のγ-C2Sは、化学工場で発生する副産物「副生消石灰」を原料としており、これをセメントの代替として用いたコンクリートは、高濃度のCO2と接触(炭酸化養生)することでCO2を取り込む。
CO2-SUICOMの強度は、一般的なコンクリートと同等以上で、要求されるレベルに応じて設計が可能。加えて、耐摩耗性も高く、乾燥収縮も減らせるため、寸法安定性や意匠性に優れた建材を作れる。
今後、東京ガスと鹿島建設は、CO2-SUICOMの商品化に向け、CO2の固定量を増加させる技術の開発を推進し、無筋プレキャストコンクリートブロックの商品にも活用していく。
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