鹿島建設、三和石産、東海大学が共同で開発した環境配慮型コンクリート「エコクリートR3」が、神奈川県・藤沢市で建設が進む複合施設建設工事の建物躯体に6000m3適用された。産廃となるしかない施工で使用できない生コンを再利用するため、藤沢市内で発生する生コンの廃棄量を約600t削減することにつながるという。
鹿島建設は、三和石産、東海大学・笠井哲郎教授の3者で共同開発した環境配慮型コンクリート「エコクリートR3(アールスリー)」を神奈川県で施工中の「藤沢公民館・労働会館等複合施設建設工事」に大規模適用した。建物躯体に約6000m3(立方メートル)を使用し、初の本格適用となる。
エコクリートR3は、2012年度から環境省環境研究総合推進費(環境省、環境再生保全機構、課題番号:3J153001)による研究助成を受けて開発された超低炭素コンクリート。
受け入れ検査に使用したものなど、施工に使われることなく、工場に戻される生コンクリート(戻りコン)を原材料として再利用する。
戻りコンは、建設業では注文したコンクリートのうち1〜2%が発生し、国内全体では年間400万t(トン)にも上るといわれている。現に首都圏などでは、戻りコンの引き取りを有料化するなど、その減量と利活用が課題となっている。
鹿島建設ら3者がその課題解決のため開発したエコクリートR3は、産業廃棄物になるしかなかった戻りコンを再生。さらに製造時のCO2負荷も、一般的なポルトランドセメント製造に比べ、約1/8に縮減可能なことが地球温暖化防止につながると評価され、「2017年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発・製品化部門)」を受賞している。
今回の適用工事の試算では、6000m3の使用で、工事期間中に藤沢市で発生する戻りコンの廃棄量を約600t削減し、製造時のCO2排出量は、一般的なコンクリートに比べ約480tカットしたことになる。この数字は、樹齢40年の人工スギの森54.5ha(ヘクタール)で、1年間に吸収される量に相当するという。
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