清水建設が設計施工を行った「清水建設四国支店ビル」が「ZEB Ready」を達成した。新開発の空調システムなどの導入により、2016年4月〜2017年3月までの年間一次エネルギー消費量を、標準的な仕様の建物と比べて68.7%削減することに成功したという。
清水建設は同社の設計施工により2016年3月に完成した「清水建設四国支店ビル」(高松市)が、稼働後1年間の運用実績で、経済産業省が定める省エネビル基準「ZEB Ready」に相当するエネルギー削減率を達成したと発表した。2016年4月〜2017年3月までの年間一次エネルギー消費量を、標準的な仕様の建物と比べて68.7%削減。計画時の削減率目標を5.5%上回る省エネルギー性能を実現したという。
ZEB Readyは、再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量水準を基準一次エネルギー消費量から50%以上削減した建物を意味する。年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになるZEBを達成するために、最低限クリアしなくてはならないのがこのZEB Readyだ。
清水建設四国支店ビルは、鉄筋コンクリート造(1階柱頭免震構造)4階建て、延床面積は2488m2で、中小規模オフィスのZEBモデルビルとして計画された。省エネ性と快適性に優れる放射空調システムをはじめ、自然採光、自然通風、地中熱利用システム、照明自動調光、太陽光発電など、さまざまな省エネ設備を導入している。
このうち放射空調システムは、清水建設が中小規模のオフィスビル向けに開発した新型の空調システムを導入した。天井内部に設置した冷却装置で生成する冷気の自然対流を利用するのが特徴で、金属製の有孔天井パネルを冷やして得られる天井面からの輻(ふく)射効果と、孔から染み出す冷気により得られる対流効果で空調を行う。省エネを図りながらも、不快な気流を生まず、温度のムラが少ない室内環境を実現できるメリットがあるという。
こうした省エネシステムや機器の導入により、用途別の消費エネルギー削減率は、空調・換気で47%、照明で80%、給湯・昇降機で45%となった。加えて太陽光発電を利用した創エネルギーによる10.2%の削減量を併せ、全体で68.7%の削減率を実現した。コンセント負荷を除く単位面積当たりの一次エネルギー消費量は337MJ/m2・年となる。
運用2年目に突入した2017年4〜7月までのエネルギー消費量は、前年よりさらに低水準で推移しているという。そのため、夏季・冬季の空調・換気設備制御について、前年の経験を踏まえた改善によるさらなる省エネルギー化を図り、2017年度は基準仕様比70%を超える年間削減率を目指す方針だ。
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