狭所で離着陸でき非GPS環境下でも安定飛行するドローンを用いた新サービス、NTTドコモメンテナンス・レジリエンス OSAKA 2021

北米ドローンメーカーのSkydioは、狭いスペースで離着陸でき、GPS情報無しでも安定飛行するドローン「Skydio 2」を開発した。これを受けて、NTTドコモはSkydio 2を用いたサービスの提供を2020年11月13日に国内で開始した。

» 2021年08月19日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 都市高速道路に設置された橋梁(きょうりょう)では、離着陸場所が限られるため、これまでのドローンでは点検が困難だった。さらに、橋の下では、ドローンがGPS情報を取得するのが難しく、橋脚などへの衝突を回避するためには、高度な操縦テクニックが求められていた。

 上記のような状況を踏まえて、北米ドローンメーカーのSkydio(スカイディオ)は、狭いスペースで離着陸でき、GPS情報無しでも安定飛行するドローン「Skydio 2」を開発した。これを受けて、NTTドコモは、Skydio 2を用いたサービスの提供を2020年11月13日に国内で開始した。

 NTTドコモは、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げた建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2021」(会期:2021年7月14〜16日、インテックス大阪)内の「インフラ検査・維持管理展」で、Skydio 2と同機を活用したサービスを披露した。

サービスは「技術検証」「運用検証」「1年レンタル」の3種類

 Skydio 2は、機体の上部と下部に3台づつ搭載した4Kカメラで、全方位をセンシングして、機体の制御や障害物の検知および回避を実現するため、橋梁の下などでGPS情報が得られなくても、安定した飛行を行える。機体の先頭に取り付けられた3軸ジンバルのメインカメラは、向きを180度変えられるため、これまで撮影が困難だった部分も撮れる。

「Skydio 2」
「Skydio 2」のコントローラー

 操作は、コントローラーと専用アプリケーションを利用した操縦に応じている他、あらかじめ作成したフライトルートを自律飛行させることに応じている。最大飛行時間は23分で、最高速度は時速58キロ。

 NTTドコモの担当者は、「Skydio 2は、設置された4Kカメラによる全方位のセンシングで、機体の制御や障害物の検知および回避が行えるので、初心者でも扱いやすく、ドローンの操縦者を育成するのにも役立つ」と話す。

 NTTドコモが提供するSkydio 2のサービスは、「技術検証」「運用検証」「1年レンタル」の3種類。

 技術検証は、Skydio 2の有用性を確認するもので、Skydio 2の機能を確かめられる計画の策定や撮影データの提供、報告書の作成、専門オペレーターによるSkydio 2のデモンストレーション、専用プログラムでの飛行とAI解析、ドローンの機能拡張ソフトウェア「Skydio Autonomy Enterprise Foundation(AEF、スカイデュオ オートミーエンタープライズファンデーション)」と飛行支援ソフトウェア「Skydio 3D Scan(スリーディースキャン)」の試行で構成される。

 AEFは、専用アプリケーションの操作画面へカメラの角度を表示し、カメラの画角を上向き90度まで調整する「Vertical View(バーティカルビュー)」や障害物を認知する4Kカメラの検知範囲を設定する「Close Proximity Obstacle Avoidance(クローズプロキシミティーオブスタクルアボイダンス)」を備えている。

「Vertical View」でカメラの画角を90度にしたSkydio 2(左)とカメラの角度を上向き90度で撮影した画像 出典:NTTドコモ

 また、GPSが取得しづらい環境でもドローンを既定の場所へ帰還させる「Visual Return-to-Home(ビジュアルリターントゥーホーム)」などの機能も搭載しており、従来は飛行や撮影が困難だった場所でも、効率的かつ安全に対象物を撮りつつ、ドローンを飛行させるのに貢献する。

 「Skydio 3D Scanは、GPSが取得しづらい環境や複雑な構造物でも、Skydio 2に形状を認識させ、上下6つの4Kカメラが取得したデータを基に、障害物を回避させつつ、事前に作成したルートを自動飛行させられる。加えて、Skydio 2の撮影範囲やフライトエリアを限定することにも対応しており、点検作業の安全性を高められる」(NTTドコモの担当者)。

 運用検証は、業務でドローンが有効か調べるもので、Skydio 2のレンタルやSkydio 2およびドローン知識の講習、NTTドコモ製ドローンプラットフォーム「docomo sky(ドコモスカイ)」、AEF、Skydio 3D Scanの提供から成る。

「docomo sky」の「Vertical Viewer」

 docomo skyは、ブラウザからアクセスするクラウド型のプラットフォームで、ドローンで取得した画像から、その高度を見える化する「Vertical Viewer(バーティカルビュワー)」やサビを可視化するAutomagi製の「AMY INSIGHT(エイミーインサイト)」、クラックを抽出する富士フイルムの「ひびみっけ」といったシステムを搭載している。

 1年レンタルは、Skydio 2のレンタルやdocomo sky、AEF、Skydio 3D Scanの提供で構成される。価格は、技術検証が75万円〜で、運用検証と1年レンタルは個別見積もり。

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