Japan Drone2021−Expo for Commercial UAS Market −

地上の人命を守る産業用ドローン向け緊急パラシュートシステム、日本化薬Japan Drone2021

日本化薬は、産業用ドローン向け緊急パラシュートシステム「PARASAFE」を開発し、積載能力25トンの産業用ドローン向けPARASAFE「PS-CA12-01」を2021年12月に発売する。同社は、PARASAFEのメインターゲットとして、都市部で飛行する物流用ドローンや山林を測量するドローンなどを想定している。

» 2021年06月24日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 業務用の大型ドローンが飛行中に異常事態が生じて落下した場合には、地上にいる人に衝突し大ケガや死亡事故につながる可能性がある。さらに、フライト中のドローンが故障で山林に落ちて発火すると山火事を起こす危険性も危惧されている。

 上記の問題を解決するために、日本化薬は、産業用ドローン向け緊急パラシュートシステム「PARASAFE」を開発し、積載能力25トンの産業用ドローン向けPARASAFE「PS-CA12-01」を2021年12月に発売する。同社は、建設分野のドローンが集結する国際展「Japan Drone2021|第6回−Expo for Commercial UAS Market −」(会期:2021年6月14〜16日、幕張メッセ)でPARASAFEを披露した。

目視外でもパラシュートを作動する自動トリガーシステムを開発中

 PARASAFEは、産業用ドローンに取り付けることで、飛行中にトラブルが発生し落ちた時に、パラシュートを展開し、地上にいる人への被害を最小化する他、機体の破損により発火する可能性を少なくする。作業手順は、産業用ドローンが正常に飛行しなくなったことをオペレーターが目視で確認した後、専用のコントローラーで、ドローンに搭載されたPARASAFEに無線信号を送るというもの。無線信号を受信したPARASAFEは作動し、パラシュートを開き、ドローンの落下速度を下げる。

「PARASAFE」の本体
起動したPARASAFE

 日本化薬はPARASAFEの性能を確かめるために実証実験を行った。実験では、PARASAFEを装着した総重量25キロの産業用ドローンを高度40〜50メートルに飛ばし、空中でプロペラを止めて、降下時にPARASAFEを起動するという作業を50回実施し、パラシュートが正常に作動するかを検証した。結果、全ての実験で、パラシュートは起動し、パラシュートにより総重量が25キロあるドローンの降下速度を毎秒6メートルにできることが分かった。

PARASAFEの実証実験

 日本化薬の担当者は、「現在、当社は、積載量能力15トンの産業用ドローン向けPARASAFE“PS-CA04-00”と積載量能力100トンの産業用ドローン向けPARASAFE“PS-CA25-00”の開発を進めている。また、今後、産業用ドローンは目視外での飛行も想定されるので、落下時に自動でPARASAFEを作動する自動トリガーシステムも開発している。自動トリガーシステムは、ドローンの飛行や角度、速度を計測し、PARASAFEに設置された安全装置が異常だと判断すると、ドローン内部のフライトコントローラーなどを介しプロペラを止めた後、パラシュートを射出するものになる見込みだ」と展望を明かした。

PARASAFEのラインアップ
自動トリガーシステムのイメージ

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