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» 2021年08月10日 06時13分 公開

“デジタルゼネコン”を将来像に見据える清水建設の3本柱、設計から運用までのデジタルデータ活用などBIM

清水建設は、リアル空間とデジタル空間のデジタルツインで各種サービスを提供する“デジタルゼネコン”の実現に向け、中期デジタル戦略に基づく、3本柱のコンセプトを策定した。

[石原忍,BUILT]

 清水建設は2021年7月、中期デジタル戦略 2020「Shimz デジタルゼネコン」を構成する3つの柱「ものづくりをデジタルで」「ものづくりを支えるデジタル」「デジタルな空間・サービスを提供」のデジタル化コンセプトを明らかにした。

都市・建物デジタルツインに必要な基盤や建物OSを適用拡大

 中期デジタル戦略 2020では、リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により、ものづくりをデジタルで行い、リアル空間とデジタル空間の両面でサービスを提供する建設会社を「デジタルゼネコン」と定義し、清水建設が将来目指すゼネコン像と位置付けている。今回、策定した3つの柱のデジタル化コンセプトは、デジタルゼネコンへの成長を遂げるための基幹事業・業務の在り方を示している。

「中期デジタル戦略 2020」の概念図 出典:清水建設

 3本柱のうち、「ものづくりをデジタルで」では、建築事業と土木事業の未来ビジョンとして、プロジェクトの上流から下流の運用に至るまで一貫したデータ連携体制の構築を掲げている。具体的には、上流段階では、建築設計のコンピュテーショナルデザイン、または土木分野でのCIMを利用した施工計画の検討、次の施工段階では建築・土木ともにデジタルデータを活用した施工管理やロボット化・自動化、部材製作の実践、その先の段階では成果物である建物やインフラの機能・性能情報のデジタルデータ化などを加速させる。

 「デジタルな空間・サービスの提供」は、エンジニアリング事業の在り方を提示し、都市・建物のデジタルツイン活用によるデジタルなサービスの提供を見据える。これにより、顧客の資産価値向上、運営管理の効率化、利用者の利便性・安全・安心の向上につなげる。

 既に、東京・江東区豊洲6丁目の大規模オフィスビル「メブクス豊洲」や本社ビルの改修工事などで、都市・建物デジタルツインの構築に必要な基盤・データプラットフォームと“建物オペレーティングシステム(建物OS)「DX-Core」”の実装を進めており、今後は適用案件の拡大を図っていく。

 清水建設の建物OSとは、建物運用に特化したプラットフォームを備えた基本ソフトウェアで、メーカーや機種の違いを問わず、プログラミングが無くてもビジュアルツール上で、各種設備やIoTデバイス、ロボット、各種アプリケーションをAPIを介して相互連携させることができる。新築、既存を問わずに実装でき、顧客への提案では新築の場合は、DX-Coreサーバと建物管理システム、セキュリティシステム、IoTデバイス、ネットワークインフラ、サービスアプリケーションをパッケージ化して提供。延べ床面積1万平方メートル規模の新築オフィスビルだと、各種システムやデバイス、アプリケーションを含めて1〜2億円程度の導入コストになるという。

関連告知:ITmedia Virtual EXPO 2021 秋 「スマートシティ EXPO」 9月1日開幕!

基調講演:
シミズのスマートシティプラットフォーム
―街のあらゆる情報を統合管理する“都市OS”の可能性―

 本講演では、清水建設がスマートシティの先行モデルとして取り組んでいる「豊洲スマートシティ」の事例を通して、スマートシティプラットフォームについてご講演いただきます。

 都市デジタルツインの基盤には、既に豊富な知見のあるBIMと、ビルからリアルタイムに収集するIoTデータなどを組み合わせた、スマートビルのiOS/Androidとも言うべき、建物OS「DX-Core」が重要な役割を果たします。

 あらゆる都市の情報が統合管理される時代の到来を見据え、「DX-Core」の概要と可能性をはじめ、フィジカル/サイバーの両空間を創造する企業体“デジタルゼネコン”を目指す清水建設が考える次世代街づくりの展望を解説します。

※画像クリックで、無料の来場登録ページへ

※アイティメディアが運営するバーチャルイベント「ITmedia Virtual EXPO」とは、インターネットに接続されたPCやタブレット端末などのスマートデバイスから、24時間いつでも・どこからでも、無料で来場できる春と秋の年2回開催されている“仮想”展示会。会場では、基調講演、各EXPOで用意された特別セッション、出展社によるセミナー動画の視聴や各種資料・カタログのダウンロードなどが行える。会期は2021年9月30日まで

【本EXPOの配信は終了いたしました】

 コンセプト3つ目の「ものづくりを支えるデジタル」では、従業員がいつでもどこでも安全に業務を行い、建築・土木のものづくりや空間・サービスのデジタル化といった全ての業務を支援するデジタル化基盤全体の姿を表している。

 現在この領域では、電子決裁推進やプロジェクトデータベースによる情報連携、データ活用での業務効率化、RPAやワークフローを活用した内勤管理業務の自動化・効率化に向け、業務プロセスの見直しと併せて、各種業務システムの連携やデータ連携を推進している。また、システム群が全関係者で有効活用されるためのインフラ基盤の整備も進めており、将来はインフラ基盤とデータマネジメント基盤、業務システム基盤がものづくり、さらには中期デジタル戦略そのものを支えるデジタル化のプラットフォームとなる構想だ。

 なお、2021年6月7日には、こうしたデジタル化の取り組みが評価され、経済産業省と東京証券取引所により「デジタルトランスフォーメーション銘柄 2021(DX銘柄 2021)」に選定されている。

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