戸田建設が床版取替工事の新たな接合方法を開発、作業工程を約20%削減施工

戸田建設は道路橋の床版取替工事における新たな接合方法「すいすいC&T工法」を開発した。同社は、100年相当の疲労耐久性を有する接合方法として、高速道路総合技術研究所へすいすいC&T工法の性能証明書を提出し合格している。

» 2021年06月15日 13時00分 公開
[BUILT]

 戸田建設は、大阪大学名誉教授 松井繁之氏の指導を基に、道路橋の床版取替工事における新たな接合方法「すいすいC&T(キャット)工法」を開発したことを2021年3月30日に発表した。

工事費を約15%カット可能

 すいすいC&T工法は、戸田建設独自の継手構造を用いることで、プレキャスト床版の現地接合を容易にするもの。作業手順は、先行床版に埋設されているC型金具に、後行床版のT型金具を挿入し、その後、間詰部にモルタルを充填する。

「すいすいC&T工法」の作業手順 出典:戸田建設

 新工法の特徴は、独自の継手構造で間結部の幅を狭め、プレキャスト床版を拡幅したことによる床版設置枚数の低減や床版設置作業と間詰部作業時間の短縮、継手構造の簡素化、継手部材の小型化を実現した点。

 上記のメリットにより、1日当たりに進められる施工距離を延ばすことで、これまでの手法と比べて、床版接合の作業工程を約20%削減し、工事費を約15%減らせる。

 耐久性に関して、戸田建設は、今回の工法で使用する継手に静的載荷試験を行った結果、正曲げ・負曲げに対して変わらない性能を備えていることを確認し、支点部や支間でも連続した床版の耐荷性能を発揮することを明らかにした。

 また、新工法で作成した床版に対し、耐用年数100年に相当する荷重と走行回数を規定した「プレキャストPC床版接合部の疲労耐久性試験方法※1」をベースに輪荷重走行試験を実施。結果、この床版は、漏水が発生せず、既定の走行回数の4倍でも疲労破壊が生じなかったことから、十分な疲労耐久性を持つことを証明した。

※1 「プレキャストPC床版接合部の疲労耐久性試験方法」:NEXCO試験方法(第4編)構造関係試験方法に規定されている試験方法

輪荷重走行試験 関係者立会状況(左)と漏水確認試験(右) 出典:戸田建設

 今後、戸田建設は、大規模インフラ更新事業における老朽化した高速道路橋といった床版の取替工事への適用に向けて、新工法の工期短縮やコスト低減を図り、さらに疲労耐久性に優れた付加価値の高い技術として顧客に提案する方針を示している。

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