日立インダストリアルプロダクツは、遠心場加振装置をはじめとする試験装置の稼働状態を、対象に取り付けたセンサーで見える化し、運転の効率化を実現する試験装置向け状態監視システムを開発した。
日立インダストリアルプロダクツは、地震・自然災害対策ソリューションの見本市第25回「震災対策技術展」横浜(会期:2021年3月17〜18日、パシフィコ横浜)に出展し、地盤の地震による影響を確かめられる「遠心場加振装置」と試験装置向け状態監視システムについてパネル展示した。
遠心場加振装置は、特定の地盤をモデリングした縮小模型を用いて、地震でどのような災害が発生するかを確認可能なシステムで、液状化現象が起きる地盤なのかをチェックするのにも役立つ。構成機器は光ロータリージョイントやスリップリング、揺動架台、動的加振装置、駆動電動機、回転腕など。遠心場加振装置で加振実験を実施する際には、N分の1に小型化した地盤の模型を回転腕の内部に設置し、電動機により回転腕を回して、地盤の模型にN倍の遠心加速度を与える。結果、実物に加振実験を行った結果に相当するデータを得られる。
光ロータリージョイントとスリップリングは、回転部と静止部間の制御信号や測定情報などの受け渡しに応じている。動的加振装置は遠心場で10〜350ヘルツ(Hz)の周波数で加振し、揺動架台は動的加振装置が着座するスペース。駆動電動機はインバーター制御で任意の遠心加速度に設定する機能を備えている。インバータ−制御とは、電源もしくは電流を直流から交流に変換するコントロールを指す。
日立インダストリアルプロダクツの担当者は、「遠心場加振装置は、東日本大震災レベルの横揺れも再現できる。遠心場加振装置の用途には、同装置に水道管を埋設した地盤模型を積んでの液状化調査や杭を打ち込んで地盤改良した地盤の模型が地震でどのようになるかの確認などがある。現在、茨城県筑波市に位置する土木研究所の実験施設で採用されている」と語った。
試験装置向け状態監視システムは、遠心場加振装置をはじめとする試験装置の稼働状態を、対象に取り付けたセンサーで見える化し、運転の効率化を実現する。センサーが取得したデータは専用のシステムで解析されて、専用のサーバに集約される。専用のサーバに蓄積されたビッグデータに関しては、将来的に、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」で分析した後、対象における故障予兆の検出や整備周期の割り出し、異常時の対策立案が行える環境を整備する見通しだ。
日立インダストリアルプロダクツの担当者は、「試験装置の稼働状態に関する情報や専用のサーバに蓄積されたデータは、タブレット端末で見られるため、これまでのように稼働する試験装置の状況を長時間目視でチェックする必要がなく、作業員の削減に貢献する」と利点を述べた。
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