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» 2021年02月19日 09時00分 公開

ニューマチックケーソン工事の掘り残し部の掘削状況を可視化するシステム、清水建設製品動向

清水建設は、ニューマチックケーソン工事における掘り残し土の掘削状況を可視化するシステム「ケーソン版SP-MAPS」を開発した。今後、システムの改良を図り、実工事での適用を目指す。

[BUILT]

 清水建設は、ニューマチックケーソン工事※1における掘削管理の精度向上と作業の安全性向上を目的に、3次元スキャン技術とプロジェクションマッピング技術を活用し、ケーソン刃口(はぐち)周辺における掘り残し部の掘削具合をリアルタイムに可視化するシステム「ケーソン版SP-MAPS」を開発した。

※1 ニューマチックケーソン工事とは、コップを逆さまにして水中に押し込んだ状態のように、空気の圧力で水の浸入を防ぐ原理を応用した施工法を指す。鉄筋コンクリートの函体(ケーソン)の下部に設けた作業室内に、地下水圧に相当する圧縮空気を送り込むことで乾燥した環境を保持し、掘削・排土を行う。

人力による出来形の計測作業が不要

 ニューマチックケーソン工事では、地上で鉄筋コンクリートの函体(ケーソン)を構築し、ケーソン下部に設けた圧気作業室内で掘削と排土を繰り返しながら、ケーソンを所定の深さまで沈下させる。掘削時には通常、ケーソン躯体を安定した姿勢で沈下させるため、地盤と接するケーソン刃口部の内側に土砂をあえて残しながら作業を進める。

圧気作業室内の掘り残し土のイメージ 出典:清水建設

 この掘り残し部の掘削精度は、ケーソンの沈設精度に大きく影響するが、掘削オペレーターの技量に依存することが多い。しかし、業界では熟練技能者の減少が続いており、技能者のレベルを問わず必要な精度を確保するための施工支援技術が求められていた。また、日々の出来形管理では、高気圧下の作業室内で作業員が掘り残し部の形状を計測していたため、作業負荷の軽減が課題となっていた。

 そこで清水建設は、山岳トンネル工事のインバート掘削向けに開発した計測照射システム「SP-MAPS」をニューマチックケーソン工事向けにカスタマイズし、掘り残し土の掘削管理に適したケーソン版SP-MAPSを構築した。ケーソン版SP-MAPSの構成機器は、3次元スキャナーやデータ取得・解析用のPC、ネットワークカメラ、プロジェクター。

「ケーソン版SP-MAPS」の構成機器 出典:清水建設

 ケーソン版SP-MAPSは、3次元スキャナーで計測した掘削面の形状と設計形状の比較結果から掘削の過不足を瞬時に数値化し、過不足量のレベルに応じて色分けしたマッピング画像を掘削面に直接照射する。このマッピング画像は、ネットワークカメラのモニター画面上に重ね合わせることが可能なため、掘削オペレーターは、モニター画面に表示された掘削面の色光から掘削の過不足を把握し、作業を円滑に進められる。

圧気作業室内でのケーソン版SP-MAPSの照射状況 出典:清水建設
ネットワークカメラの画像にマッピング画像を重ね合わせた様子 出典:清水建設

 ケーソン版SP-MAPSの作業手順は、まず事前準備として、掘削深度に合わせて変化する地質や躯体重量等を踏まえて計画した深度段階ごとの掘り残し幅と法面形状を設計値としてシステムに入力する。利用時には、3次元スキャナーを起動し、掘り残し部を計測することで、掘削面の点群データがPCに転送され、解析プログラムが点群データと設計値の差異を瞬時に算出。

 続いて、照射用の色分け画像を自動作成し、プロジェクターを介して掘削面に照射する。計測から画像照射に要する時間は約1分。3次元スキャナーが取得した点群データはシステムに自動的に記録・保存されるため、人力による出来形の計測作業が不要となり、作業員の函内滞在時間を減らせる。

 ケーソン版SP-MAPSの性能を確かめるために、清水建設、大豊建設、遠藤興業から成る共同企業体は、宮城県石巻市で施工中の「石巻中央排水ポンプ場建設工事」にケーソン版SP-MAPSの計測・照射装置を試験導入した。石巻中央排水ポンプ場建設工事では、高気圧環境下におけるケーソン版SP-MAPSの実効性と装置の耐圧性能を確認している。

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