「就労条件総合調査」のデータから建設業の“働きやすさ”を評価する建設業の人材動向レポート(30)(2/2 ページ)

» 2021年03月03日 10時00分 公開
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■建設業で“フレックス制”を採用している企業割合は1.1%

 フレックスタイム制を採用している企業割合の推移を見ると、「建設業」は2020年において1.1%となり、比較した6業種の中では最低だった(図表3)。最も割合が高かったのは「情報通信業」の30.0%であり、次いで「金融業・保険業」の14.4%、「製造業」の7.3%となっている。時系列で見ても、「建設業」は2009年の2.6%から1.5ポイント低下しており、フレックス制の導入が進んでいないことが分かる。

※ フレックスタイム制:労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度

【図表3 フレックスタイム制を採用している企業割合の推移】 出典:厚生労働省「就労条件総合調査」よりヒューマンタッチ総研が作成

■まとめ

 働きやすい産業であるかどうかを決める指標として、「完全週休2日制採用企業割合」「年次有給休暇の取得日数」「フレックスタイム制の採用企業割合」について見ると、建設業での完全週休2日制採用企業割合は30.4%(製造業44.2%)、年次有給休暇の取得数は8.0日(製造業11.9日)、フレックスタイム制の採用企業割合は1.1%(製造業7.3%)となり、いずれも製造業を下回り、働きやすさという点では建設業は製造業よりも劣り、全産業の中でも低位にあることが判明した。今後、これらの指標を改善してより働きやすい産業にすることは、建設業にとって重要な課題になると考えられる。

著者Profile

ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)

ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。

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