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» 2021年02月22日 09時00分 公開

鹿島建設らがUHPFRCによる道路橋床版のリニューアル工法を開発、橋梁下部工の補強が不要新工法

鹿島建設と中日本高速道路は、鋼繊維を多量に混入した「超高性能繊維補強セメント系の複合材料」を現場で製造・打設して、床版の補強と補修を行い、薄層でありながら、高耐久な床版を構築する工法を開発した。使用するUHPFRCは高強度であるため、新工法は、コンクリート床版・鋼床版のどちらのリニューアルにおいても、床版増厚の量を最小限に抑えられる。そのため、道路橋床版自体の重量を減らすことができ、橋梁下部工の補強が不要となる。

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 鹿島建設は、中日本高速道路(NEXCO中日本)と共同で、水結合材比が約15%の緻密なセメント系材料を繊維で補強した「超高性能繊維補強セメント系の複合材料(UHPFRC)」を用いて、コンクリート床版と鋼床版の2種類に適用可能な道路橋床版のリニューアル工法を開発し、2020年12月23日に発表した。

独自のUHPFRCは道路勾配が最大12%でも成形可能

 NEXCO中日本が管理する高速道路約2000キロのうち、供用から30年以上を経過した道路は全体の約60%を占め、こういった道路では、近年、大型車の増加による過荷重の繰り返し疲労と凍結防止剤による塩害で老朽化が進んでいる。

 こうした道路の老朽化対策として行われるコンクリート床版橋のリニューアルは、床版上面におけるコンクリートの劣化部を除去後、一般的な強度レベルのコンクリートを鋼繊維で補強したもの(SFRC)を打ち込み、耐荷力を高めるために床版厚を大きくするのが主流だ。また、鋼床版橋の場合は、アスファルト舗装の一部または全層をSFRCに打ち替え、疲労耐久性を確保する対策なども講じられている。

 しかし、上記の対策は床版の重量が大きくなるため、橋梁(きょうりょう)下部工の追加補強と床版増厚に伴う路面高の追加調整工事が発生する他、昨今は補修部分の再劣化といった課題が報告されている。

 解決策として、鹿島建設とNEXCO中日本は、海外では既に実用化されている、UHPFRCによる道路橋床版のリニューアル工法を踏まえて、2016年から新たなリニューアル工法の共同開発に着手し、このほど開発に成功した。

新工法の実証実験でコンクリート床版にUHPFRCを打設している状況 出典:鹿島建設

 新工法は、コンクリート床版橋に対しては、床版上面におけるコンクリートの劣化部を除去した後に上面からUHPFRCを打ち込み、床版の厚さを変えないでリニューアルし、鋼床版橋には、アスファルト舗装の一部(基層)をUHPFRCに打ち替えてリニューアルする。

コンクリート中空床版へのUHPFRCの打ち替え(左)と鋼床版へのUHPFRCの敷設補強(右)のイメージ 出典:鹿島建設

 新工法で使用するUHPFRCは、施工現場近くのプラントもしくは現場に設置した仮設プラントで製造したもので、高い流動性を有し、セルフレベリング性※1も一般のUHPFRCと同様に優れている他、現場で流動性を調整できる鹿島独自の技術により、道路勾配が最大12%でも成形可能。また、増厚せずに劣化部または舗装部と打ち替えた場合は、既存路面との高さ調整も必要無い。

※1 セルフレベリング性とは、流体を任意のエリアに流し込むだけで水平な面を形成する自己水平性を指す。

 上記のようなUHPFRCの特性により、新工法は、SFRCよりも打ち込み厚さを薄くしながらも耐荷力や疲労耐久性を効率的に高められ、凍結防止剤による塩分や水の侵入からも床版を守る。さらに、補修・補強前後における橋梁上部工の重量はほとんど変わらないことから、橋梁下部工を補強するなどの追加工事の省略にも応じている。

 鹿島建設は今後も、新工法の実施工を想定した施工細目の検討や施工手順のマニュアル整備を進め、現場への適用に向けた準備を行っていく。

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