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» 2020年10月05日 09時00分 公開

シールドの掘進と内部への部材設置を同時に行える新工法を開発、鹿島建設新工法

鹿島建設は、セグメントによる1次覆工完了後にトンネル内部に構築する構造物の部材をプレキャスト化するとともに、各部材を床版の上下で分けて搬送することで、シールドの掘進と内部への部材設置を同時に行える新工法を開発し、都内で手掛けている「東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事」に適用した。

[BUILT]

 鹿島建設は、セグメントによる1次覆工完了後、トンネル内部に構築する構造物の部材をプレキャスト化するとともに、各部材を上下の床版で分けて効率的に搬送する工法を開発した。

美シール工法で側壁の養生日数を確保しつつ早期の型枠脱型を可能に

 シールドトンネル工事では、トンネルの壁面となる1次覆工をセグメントで構築した後、用途に応じて道路などの内部構築部材を配置する。従来、1次覆工のセグメントはプレキャスト化されていたが、内部構築部材は一般的に場所打ちコンクリートで施工していた。

 しかし、場所打ちコンクリートは、鉄筋や型枠の組み立て、コンクリート打設などの煩雑な作業を坑内で行う必要があり、近年長距離化するシールドトンネル工事では、工期の長期化や施工管理の負担につながり、課題となっていた。また、セグメント外径の大きい断面シールドトンネルでは、内部を構築する部材の数量が多いため、坑内における部材の搬送を効率化することも求められていた。

新工法における内部構築部材の施工ステップ図 出典:鹿島建設

 解決策として、鹿島建設は上記の工法を開発した。新工法は、構築部材であるインバートや中壁、床版をプレキャスト化することで、トンネル坑内での躯体構築作業を最小限にとどめた。

 インバートのプレキャスト化では、同社が開発したインバートのプレキャスト化技術を適用し、セグメントとインバート部材をトンネル切羽(きりは)部へ同時に搬送することで、セグメントの組み立てとインバート設置を同時に行えるようにした。

 トンネル側壁の構築には、鹿島建設が2014年に開発した「美(うつく)シール工法」を採用。美シール工法は、高撥水性特殊シートを型枠も表面にあらかじめ貼りつけてコンクリートを打設するだけで完了し、コンクリートが自ら持つ水分で自らを保水養生でき、表面も緻密に仕上げられる。

 今回、側壁の工事に美シール工法を導入することで、養生日数を確保しつつ早期の型枠脱型を可能にし、型枠台車を短いサイクルで次の作業に使えるようにして、工程の短縮を進められるようにした。プレキャスト化した中壁と床版は専用据付台車により指定のエリアに設置することで、省力化を図った。

専用据付台車によるプレキャスト床版設置状況 出典:鹿島建設
新工法の上下分離搬送、専用搬送車両(上)とバッテリーロコ(下) 出典:鹿島建設

 各部材の搬送方法は、専用搬送車両を利用して床版の上部で中壁と床版を運び、バッテリーロコを用いて床版の下部でセグメントとインバート部材を運搬する。

 それぞれの部材を施工の進捗に合わせて、床版の上下で分離搬送することで、シールドの掘進と内部構築の同時施工を可能とし生産性を高めた。

 既に、鹿島建設は、2014年4月から都内で手掛けている「東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事」に新工法を適用した。

 今後、鹿島建設は、シールドトンネルの内部に使用する全部材のプレキャスト化とプレキャスト部材の自動設置技術を開発していくとしている。

「東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事」での新工法による1次覆工完了状況(左)と内部構築部材の設置完了状況(右) 出典:鹿島建設

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