耐火集成木材「燃エンウッド CLT 耐力壁」を竹中工務店が開発、日本初の国交大臣認定CLT

竹中工務店の耐火集成木材「燃エンウッド CLT 耐力壁」が、燃え止まり型の耐火構造耐力壁で日本初だという国土交通大臣認定を取得した。燃エンウッド同様に、壁の表面を耐火被覆などで覆わない“木の現し”が実現するだけでなく、認定取得により、地震力を負担する「耐震壁」に加え、建物の自重を支える「耐力壁」での適用が可能となった。

» 2021年02月17日 12時00分 公開
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 竹中工務店は2021年2月3日、耐力壁として適用可能な耐火集成木材「燃エンウッド CLT 耐力壁」を開発し、これまで柱や梁(はり)に使われていた「燃エンウッド」シリーズに追加したことを公表した。燃エンウッド CLT耐力壁により、柱を用いずに建物の自重を支え、“木の現し”による住宅やオフィスの開けた居室空間が実現し、居住者や利用者に木材のぬくもりを与え、木質を基調とした意匠性が向上する。

建物の自重を支える「耐力壁」として展開が可能に

 燃エンウッド CLT 耐力壁は、厚さ90ミリ以上のCLTによる「荷重支持部」と石こう系セルフレベリング材とカラマツの「燃え止まり層」、木材の「燃え代層」から成る2層の耐火被覆層で構成した耐火構造の木造部材。燃え代層から燃え止まり層までの厚さは100ミリとし、耐火性能を確保するために、燃え止まり層に木材とせっこう系セルフレベリング材を組み合わせた断面構成で開発・実用化した。

 これまでの燃エンウッドシリーズでは、荷重支持部を集成材としていたが、壁として使用するには縦横に長さが必要なため、燃エンウッド CLT 耐力壁では、荷重支持部にCLTを採用している。

「燃エンウッド」と「燃エンウッド CLT 耐力壁」の構造上の違い 出典:竹中工務店

 今回の耐火認定では、A及びBの2パターンで認定を取得した。A仕様では、さらに大きな建物の荷重を支えられるように、荷重支持部材のCLT壁を2枚にすることも可能で、一方のB仕様では、燃え止まり層を強化せっこうボード(GB-F)に置き換えられる。強化せっこうボード(GB-F)を用いて、バリエーションを増やすことで、木以外の仕上げ材との組み合わせが多様となり、建物への適用パターンの広がりが期待される。例えば、荷重支持部のみを木とし、両面をせっこうボード(GB-F)とすることなどもできる。

上から見た「燃エンウッド CLT 耐力壁」の断面 出典:竹中工務店

 柱及び梁の耐火要求性能は、1時間(建物上部から4層)、2時間(建物上部から14層)、3時間(建物上部から14層以上)で、自重を支える耐力壁は2時間耐火認定を取得すれば、建物の階数に関わらず建物のいかなる耐力壁にも適用可能となる。

 なお、木造部材で耐火構造部材の大臣認定を受けるためには、公的試験所による性能評価試験に合格しなければならない。耐火試験炉での2時間のバーナー加熱終了後、耐火試験炉内に放置し、24時間以内に部材の耐火被覆層が自ら燃焼を完全に停止することと、構造体部分の非炭化が合格の条件とされている。2時間仕様の場合、耐火試験炉の内部は約1050度まで上昇し、木材が燃えて炭化する260度を大幅に超える状態で耐火性能を確保することが求められる。

 耐火試験をクリアしたことで、RC造やS造の耐火構造部材と同等の耐火性能であることが証明されたことになる。燃エンウッドシリーズでは、最外層の燃え代層がゆっくり燃えて熱の侵入を抑制し、第2層の燃え止まり層のせっこう系材が熱を吸収して、荷重支持部が燃焼・炭化温度の260度を超えない状況を作り出すことで、耐火性能を確保している。

燃エンウッドの耐火試験 出典:竹中工務店

 燃エンウッド CLT 耐力壁は、国産木材のスギ、ヒノキ、カラマツをはじめとするJAS規格に適合する全ての木材に対応している。竹中工務店では今後、都市部の中高層建築に燃エンウッドシリーズを適用し、住みやすい・生活しやすいまちづくりの技術として展開し、政府の推進する公共・民間建築物の木造・木質化にも貢献していくとしている。

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