今回のロボット配送サービスの試みでは、屋内安全走行で世界初の認定を受けている「安全ロボット」、高品質なAV通信技術を備える「遠隔監視・操作」、車両メーカーとともに構築したハッキング対策の「学習型セキュリティ監視」――の3つの技術を採り入れている。
配送ロボットの開発コンセプトは、街の日常風景の中で地域の人々に役立ち、頼りがいと愛らしさを併せ持つ存在とし、機体前面には愛着を持ってもらえることを狙い、顔のデザインを採用している。車体後部には、ロボットの道路運送車両法での車両区分は、第1種原動機付自転車の扱いとなっているため、藤沢市のご当地ナンバープレートが取り付けられている。荷台については、2カ所を備えており、暗証番号を手動または遠隔操作で入力すると開く仕組み。
ロボットのスペックは、サイズが650(幅)×1150(高さ)×1150(奥行き)ミリで、重さは120キロ。走行能力は、最大速度は時速4キロ、登坂能力は10度、段差は4センチまでを乗り越え、稼働時間は約3時間。カメラは計4台の他に、自律走行で周辺状況をリアルタイムに把握するため、LiDARレーダーも装着している。
実験は2段階で行われ、先行して実施するフェーズ1は2020年11月25日〜12月24日の期間で、公道走行時の技術検証及び課題抽出を目的に、基本的には限定エリア内を設定して自律走行させ、Fujisawa SST内の遠隔管制センターから遠隔で監視する。ただし横断歩道では、オペレーターがリモートで操作する。
遠隔管制センターでは、映像だけでなく音声も通信し、住民との会話にも対応。オペレーションの体制は現状、1台に対し、オペレーター1人だが、本社での実験ではAIのサポートによって4対1で行っているため、将来はFujisawa SSTでも事業化に向けて複数台の運用管理も予定している。
また、学習型セキュリティ監視の観点では、まだ実用化前だが、工場向けなどで運用している既存のセキュリティシステムをモビリティにも転用し、何らかのインシデントが確認されれば対応できるようなシステムを遠隔管制センターに構築する。仮に、サイバー攻撃をロボットが受けた場合は、走行を止めるかどうかの判断に役立てるという。また、現在のシステムには、5秒の通信遅延が起きれば、動作を停止するアルゴリズムが働く仕組みが既に実装されている。
フェーズ2については、2021年2月〜3月に配送サービス体験の受容性検証を行い、非対面での荷物の受け渡し、遠隔管制センターとロボットを介した非接触コミュニケーションをテストする。
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