換気やフィルターだけでなく、湿度もウイルス感染には影響を与える。冬場は気温とともに湿度も低下するが、湿度30%と60%の空間内での飛沫量を比較すると、湿度30%の方が1.8メートル先に飛ぶ量が60%時の2倍以上となることが証明され、湿度の低下がウイルスの感染リスクを高めることが指摘されている※2。
しかし、ビル管理法では室内の湿度を40%以上に保つことが推奨されており、換気のために冬の乾燥した外気をより多く取り入れると湿度が低下するので、最適な外気量と湿度の両立が課題となる。渡邉氏は、適正な湿度コントロールで、「換気だけでなく、40〜60%の湿度に保つことも必要だ」と要望した。
※2 理化学研究所「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策」参照
また、深紫外線照射灯は、100〜270nm(ナノメートル)の波長で、カビの発生も抑止することから食品工場や海外では感染症対策で病院にも採用されている。新型コロナウイルスに対しては、21J/m2(ジュール毎平方メートル)の強度で照射することにより、90%の不活化が期待される。
設置にあたっては、ダクトや空調機のサイズと風量に応じて必要なUV積算光量が変わり、本数や取り付け位置で対応する。最近の空調機はコンパクト型が主流となっているため、内部に設置できないことがあるが、ジョンソンコントロールズのラインアップには、挿入して取り付けるタイプや給気ダクトに搭載する種類も用意されている。
上記4つの対策でより効果を上げるために必須となる最適な空調機の自動制御は、BAS「Metasys」の「クリーンエア動作モード」を感染症対策用にさまざまな機能をカスタムすることで応じる。例えば、人数カウントカメラとの連動で、CO2や人の数に応じた外気コントロールを行う換気量を増やすモードをはじめ、夜間に新鮮な室内空気を取り込むフラッシュモード、就業前の時間に合わせて温度・湿度・換気を最適化するサーマルフラッシュモード、リターンダンパーを閉じて外気のみでオールリフレッシュする2次感染抑制モードが考えられる。
最後に渡邉氏は、「日本は標準的なマスクや手洗いを徹底しているからこそ、欧米に比べて感染を抑えられている。こうした標準的予防法を空調機に当てはめたのがクリーンエアソリューション。当社では、コンサルから施工、保守までワンストップで、利用者の安全と企業の安定的な事業継続を実現する感染抑止ソリューションを日本市場でこれからも提案していく」と語った。
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