既存空調設備を活用したビル内の“新型コロナ感染抑止策”を提案、ジョンソンコントロールズBAS(2/3 ページ)

» 2020年12月17日 06時09分 公開
[石原忍BUILT]

「クリーンエアソリューション」は科学的根拠に準拠した効果的な感染症対策

ジョンソンコントロールズ 営業推進本部 営業開発統括部 営業1部長 渡邉匡史氏

 新型コロナウイルス感染症の拡大予防に効果的なクリーンエアソリューションについては、営業推進本部 営業開発統括部 営業1部長 渡邉匡史氏が解説。

 ジョンソンコントロールズでは、ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)のHVACシステムガイダンスと、WHO(世界保健機関)及びCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が発表した感染予防ガイダンスをベースに、空調設備を対象にした具体策としてクリーンエアソリューションの方法を策定した。

 建物内でクラスタが発生する要因は、感染者数や呼吸回数、曝露(ばくろ)時間など複数あるが、クリーンエアソリューションは中でも空調設備にフォーカスし、科学的根拠に基づき、既存設備を活用しつつプラスαを加える対策方法。オフィスビルだけでなく、学校、工場、官公庁、エンタメ施設など、多様な施設への導入を想定している。

 クリーンエアソリューションは具体的には、1.適正な換気量、2.最適なフィルター選定、3.最適な湿度コントロール、4.空調機への深紫外線照射灯の導入、5.最適な自動制御――の計5つの感染抑止策から成る。

5つの感染抑止策で構成するクリーンエアソリューション

 1の適正な換気は、建築基準法とASHRAE Standard62.1に準じ、汚れが滞留した空気をクリーンな空気に入れ替えることで、外気の割合を最適化するというものだ。

 2のフィルター選定では、高性能フィルターの中でもグレードの高い「MERV13」、または比色法で95%以上のフィルターにアップグレードすることを求める。その理由として、COVID-19自体のサイズは0.06〜0.14μm(マイクロメーター)とされるが、ウイルスがそのまま浮遊するわけでは無い。重視すべきなのは、エアロゾル感染を媒介する人の飛沫で、そのサイズは0.3〜0.5μmのため、MERV13で対応できるからだ。一般的な空調機に採用されているMERV8から、MERV13に変更するだけで、感染予防となる集塵(しゅうじん)効果は大幅に向上する。なお、クリーンルームなどで使用する「HEPAフィルター」は、ファン動力の改造を伴うため、現実的な方法では無いとしている。

フィルター選定。左のフィルターが「MERV13」、右のフィルターが「HEPAフィルター」
「MERV8」と「MERV13」の違い

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