寄付金・水・電力・医療の包括的な災害支援、「平時にも使える」強みで自治体のレジリエンスを強化災害支援のデジタル化(3/3 ページ)

» 2020年08月28日 09時21分 公開
[石原忍BUILT]
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平時には、過疎地での医療スタッフ派遣や急患の搬送などに活用

 緊急医療のサービスは、NPO法人のピースウィンズ・ジャパンとアジアパシフィックアライアンス・ジャパン、公益社団法人のCivic Forceで構成される医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」と連携。緊急時には無償で、捜索・救助、医療や物資の支援、スタッフを常駐させる避難所の運営を行う。普段は有償で、過疎化が著しい地域への医療スタッフの派遣、ヘリや飛行機を使った離島の巡回診療、急患搬送などの活動を想定している。

ARROWSによる被災地での支援
平時で想定される緊急医療の活動内容

 エネルギー向けでは、“エネルギーの地産地消”の実現を標ぼうし、2019年より展開している地域エネルギー事業を拡大。太陽光発電設備とテスラ製蓄電池の「Powerwall」を卸売やTPOで、学校や庁舎などの防災拠点に配備し、2018年北海道胆振地方東部地震に発生したブラックアウトなどと同様の電力が遮断される事態に備える。具体的には日常生活の中で、施設の冷暖房などに自家消費しつつ、避難生活に必要な電力も賄え、余剰電力は地域へ売電できる仕組みを構築する。そのためにトラストバンクは、対象施設ごとに冷暖房や照明といった重要な電力から施設全体まで、電力自立化の要望に応じて見積もりし、導入後の運用サポートまでをカバーする。

エネルギーサービスの概要。太陽光発電設備と蓄電池を防災拠点に設置することで、平時と非常時のどちらでも電力の自立化が実現する

 以上の合計4種類のサービスから成るトラストバンク レジリエンス パッケージは、ベーシックプランとして、ふるさとチョイス 災害支援とARROWSとともに行う医療支援を有事に限り無償で提供する。水資源支援とエネルギー支援は、有償の追加オプションという位置付け。

 川村氏は「限られた自治体の予算で、災害対策は優先度が低く、財源の確保に苦慮されている自治体は少なくない。いずれのサービスも有事だけでなく平時でも使えるようにしているため、予算化はしやすいはず。今回は優先度の高い、水資源、緊急医療、エネルギーを対象に、全国の自治体へ提案を進めていくが、他にも万一のときに即時対応できる災害支援の種類を拡充していくつもりだ」と今後の方針を語った。

会見でのフォトセッション。左からトラストバンク 代表取締役 川村憲一氏、会長兼ファウンダー 須永珠代氏
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