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» 2020年08月19日 07時00分 公開

メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020:トヨタの生産方式をMITが体系化した「リーン生産方式」の建設業での活用法 (1/2)

立命館大学 理工学部 教授の建山和由氏は、i-Constructionの目に見える効果として、近年活用が増加している現場の映像を活用したシステムと、トヨタの生産方式をMITが体系化した「リーン生産方式」の導入を提唱している。

[遠藤和宏,BUILT]

 立命館大学 理工学部 教授の建山和由氏は2020年7月31日、「メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020」(会期:2020年7月29〜31日、インテックス大阪)の「コンストラクションステージ(1)」で、「i-Constructionから生まれる新たな改革の兆し」と題した講演を行った。セッションでは、建設業の課題やi-Constructionの効果、遠隔臨場を実現して従来の建設工程の無駄を無くす、リーン生産方式を解説した。

インフラの修繕と更新工事は増加傾向

立命館大学 理工学部 教授の建山和由氏

 総務省統計局の資料によると、国内では少子化や高齢化が進行しており、15〜64歳の生産年齢人口が2017年と比較して2045年には69.7%になると予想している。「生産年齢人口の減少に伴い、建設業従事者を含め、全産業で労働者が低減することは明白だ。税収や施設使用料も縮小し、インフラへの投資予算も減ることが予想される」(建山氏)。

 政府のインフラ投資に関しては、日本建設業連合会の建設業ハンドブック2018を参照すると、2017年の新設工事数は1990年代に比べ2分の1になっている一方で、修繕と更新工事は増加している。

 また、近年は、豪雨などの自然災害が増えており、例えば、気象庁が運用する自動気象データ収集システム「アメダス」の雨量情報では、1時間あたりの降水量が50ミリを超えた雨の年間発生回数は、全国で毎年増えている。そのため、インフラの強靭化は、これからも社会課題として重視されることが見込まれている。

1時間あたりの降水量が50ミリを超えた雨の年間発生回数は、全国で毎年増加している

 建山氏は、「政府は、実際に起きた過去最大の災害を踏まえて、防災対策の基準を設定する。より大きな災害が発生するたびに基準は更新されるため、今後も、耐震補強や河川氾濫への対処など、防災対策の費用は増え続けていくと想定している」と説明した。

 続けて、「深刻化する建設業の人手不足やインフラ投資予算の縮小、維持修繕工事と防災対策の増加などを考慮すると、業界は変わっていかなければならない。なかでも、人手が足りない問題は入職者数の減少が関連している。入職者数を増やすためには、労働時間と事故発生件数を削減し、賃金を上げ、イメージアップを図らなければならない」と提案した。

 建設業界の市場動向を日本建設業連合会の建設業ハンドブック2019でみると、建設業界は2018年、全産業平均と比較して、平均年間総賃金は20.8%も低く、逆に平均年間労働時間は15%多かった。一方で、労働災害による年間死亡者数は全産業の34%を占めた。

建設産業の実情

 国土交通省は、賃金や労働時間、事故発生数などの問題を解消し、生産性向上を図るため、全工程でICTを活用して建設生産プロセスを効率化する施策i-Constructionを推進している。「国土交通省は2016年からi-Constructionを現場に導入しており、2016年以降は実際に、労働生産性や年間賃金の総支給額、年間労働時間、就労中の死亡者数などが改善している」(建山氏)。

i-Constructionの効果。産業別総労働生産性(左)と産業別年間総賃金(右)の推移
i-Constructionの効果。産業別総労働時間(左)と産別事故件数(右)の推移
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