ふるさと納税のWebサービスを自治体に提供しているトラストバンクは、この仕組みを災害時の寄付金募集にも応用し、水資源、緊急医療、エネルギーのサービスも追加して、災害支援を包括的にカバーする新規事業を開始した。全てのサービスが非常時だけでなく、日常でも使えることが特長で、いざというときに自治体担当者がイチからオペレーションを学ぶ必要が無く、即時に対応できるのが他に無い強みとなっている。
トラストバンクは2020年8月27日、災害時に自治体のレジリエンス(災害復旧力)強化を包括的に支援する新サービス「トラストバンク レジリエンス パッケージ」の提供を始めた。新事業のローンチに合わせ、同日にはオンラインサービスZoomを介して、新サービスの発表会を開催した。
トラストバンク レジリエンス パッケージの内容は、既存のふるさと納税制度をWeb上で行う「ふるさとチョイス」と同じプラットフォームを用いて、災害支援の寄付フォームをWeb上に構築することに加え、水資源、緊急医療、エネルギーの3つのインフラ領域でも、自治体のレジリエンス(災害復旧力)強化を図る総合的なサービスとなっている。
発表会で会長兼ファウンダーの須永珠代氏は、2012年設立のトラストバンクがこれまでに展開してきた自治体向けの災害支援サービスについて紹介した。
2014年9月に、ふるさと納税制度のWebサービス「ふるさとチョイス」と同一のコンテンツ管理システム“CMS”で、災害時に自治体が寄付金を募れる専用フォーム「ふるさとチョイス 災害支援」を全国の自治体に無償提供した。
基盤となっているふるさとチョイスでは、ふるさと納税を行っている自治体の礼品や使い道を掲載し、今では1570以上の自治体と契約を結び、2019年12月時点で月間2億PVのWebサイトにまで成長した。災害支援版も、2020年には430自治体が活用し、寄付額の累計総額は69億円に達したという。
須永氏は、「災害に特化している他のサービスとは異なり、平時でも使えるのが利点。災害はそう頻繁に発生するものではなく、行政の担当者も定期的な異動により、3年に1度は変わってしまうため、いざというときにシステムを扱えないことが多々ある。ふるさと納税の関連業務で普段から使い慣れたサービスと同じだからこそ、有事にも操作に戸惑うことなく即対応することができる」と有用性を強調する。
導入例としては、令和2年熊本・鹿児島大雨災害の熊本県人吉市で、ふるさとチョイス 災害支援を介して8000万円を超える寄付が集まった。Webサービスのため、メディアで被災状況が報道されたときは、既にWebサイトが立ち上がっているため、従来の金融機関での寄付などとと比較して、スピーディーな周知が行え、寄付金の総額も多額になることが見込める。
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