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» 2020年08月24日 09時00分 公開

山岳トンネル工事:せん孔データから吹付け面や地山掘削面の余掘り量を測定する新システム

鴻池組らは、統合せん孔支援システム「ドリルNAVI」を使用して、山岳トンネル工事の発破孔やロックボルト孔せん孔時のせん孔データ(せん孔エネルギー、せん孔速度など)を5Hzで取得し、吹付け面や地山掘削面の境界面を3次元座標で正確に見える化し、余掘り量を導き出すシステムを開発した。今後、新システムは、吹付け面や地山掘削面の自動抽出、出来形図の自動出力、最適な発破パターンの自動作成などの機能を加えて、製品化を目指す。

[BUILT]

 鴻池組と古河ロックドリル、マックは、統合せん孔支援システム「ドリルNAVI」の新機能として、取得したせん孔データから、吹付け面や地山掘削面の3次元座標を特定して余掘り量を測定する「トンネル余掘り測定システム」を開発した。

吹付け面や地山掘削面の出来形、吹付け厚、余掘り量を誤差20ミリ以内で計測

 山岳トンネル工事の余掘り低減は、施工サイクルの向上や吹付けや覆工コンクリートなどの材料コスト削減を図る上で重要となる。余掘りの測定は、発破直後の素掘り面近くに、レーザースキャナーなどの測定器を設置して、約15分かけて測っている。また、計測中に地山の安定性が低下して、切羽が崩壊するなどの危険性も伴っていた。

 鴻池組らが開発したトンネル余掘り測定システムを開発は、ドリルNAVIを使用して、山岳トンネル工事の施工サイクルで行う発破孔やロックボルト孔せん孔時のせん孔データ(せん孔エネルギー、せん孔速度など)を5Hz(ヘルツ)で取得し、吹付け面や地山掘削面の境界面を3次元座標で正確に見える化する。

掘削面と吹付け面の出来形測定概要図(左)とせん孔データの分析の概要図(右) 出典:鴻池組

 吹付け面と地山掘削面の境界面特定は、施工直後に、圧縮強度が1平方ミリあたり約5ニュートンの吹付けコンクリートと、圧縮強度が1平方ミリあたり50ニュートンを超える硬質な地山との強度差に着目しつつ、せん孔データの変化量や変化率を踏まえて行う。

 両圧縮強度を比較するとともに、各せん孔データを考慮して、両境界面を特定することで、吹付け面と地山掘削面の出来形情報を取得する。両出来形の差から吹付け厚を算出し、設計掘削面と地山掘削面との差から余掘り量を導き出す。

 新システムの利点は、通常の施工サイクル内で余掘りを測れるため、施工サイクルタイムに影響を与えず、余掘り計測時に掘削面を素掘りの状態に保つ必要がないため、地山の状態が不安定にならない。さらに、通常の施工サイクルで自動的にデータを取得するため、余掘り測定用の安全対策が不要となる

 新システムの性能試験では、切羽付近に設けた基準点に、各削岩機のビット先端を押し当て、3次元座標を取得。各削岩機により生じた座標の誤差を現地で簡易に補正することで、吹付け面や地山掘削面の出来形、吹付け厚、余掘り量を誤差20ミリ以内で安全に測れることが分かった。

余掘り測定の3D断面図出力例(左)と余掘り測定の展開図の出力例(右) 出典:鴻池組

 削岩機で発生した座標の誤差を補正する方法が簡単なため、トンネル全線の出来形管理だけでなく日常のせん孔管理に有効なことも明らかになった。

 今後、新システムは、吹付け面や地山掘削面の自動抽出、出来形図の自動出力、最適な発破パターンの自動作成などの機能を加えて、製品化までを視野に入れる。

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