安藤ハザマは、ソフトウェア開発会社のエム・ソフトと共同で、山岳トンネル工事中のトンネル坑内状況を見える化する新システムを開発した。今後、山岳トンネル工事だけでなく、既設トンネルや導水路の維持管理工事でも適用していく。
安藤ハザマはエム・ソフトと共同で、施工中の山岳トンネル全線にわたり坑内状況を可視化するシステム「トンネルリモートビュー」を開発した。
山岳トンネル工事では、トンネル先端の切羽での掘削作業と並行して、後方数百メートルにわたってインバート工や覆工などを行う。切羽の掘削は、資材運搬や掘削ずりの搬出を後方で進められている工事の隙間を縫って実施する。
切羽の掘削やインバート工、覆工などの施工サイクルはそれぞれ異なり、毎日工種の位置関係が変わるため、全体作業の効率化には、トンネル坑内全体を俯瞰して、後方の作業区間に配置された重機や仮設備を適切に管理していくことが重要になる。
そこで、安藤ハザマとエム・ソフトはトンネル坑内全体を俯瞰するべくトンネルリモートビューを開発した。トンネルリモートビューは、パノラマ映像の取得が容易な360度カメラやトンネル坑内を走行する車両、車速センサー、データの変換や閲覧用のPCで構成されている。
映像は、車両に取り付けた360度カメラを用いてトンネル坑内全線を走行しながら取得する。GNSSの使用が難しいトンネル坑内を対象とするため、撮影位置情報は、車速センサーを用いて、算出した距離を基に割り出す。走行終了後に、映像とトンネル坑内での位置をひも付けたデータに専用ソフトで変換する。
専用ソフトの画面上で、カーソルをドラッグすることにより視点が回転する。日々変化する坑内の状況を細かく調べられるため、トンネル内の重機や仮設備の最適な設置箇所が判明し、結果としてトンネル施工の生産性が高まる。
また、ネットワークを介して画像データにアクセス可能な仕様なため、現場事務所だけでなく、各地の事業所でトンネル坑内の状況を確かめられる。
システムは既に、複数の現場で運用している。今後は、改良を重ね、山岳トンネル工事以外にも、既設トンネルや導水路の維持管理工事で、点検や災害時の状況確認に活用していく。
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