住宅・不動産業は、売上高は7社が前年を上回り、4社が増収増益(図表9)。10社合計の売上高は前期比1.2%増、営業利益は同2.5%増、経常利益は同2.2%増、純利益は同2.0%増で、堅調な決算となった。
2021年3月期の業績予想を発表した6社は全て減収減益の予想(図表10)。大和ハウス工業、三菱地所、住友不動産の3社は、売上高を2桁の減収としており、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与えるマイナスの影響は、今後拡大するとしている。
プラント・エンジニアリング業の売上高は、7社が前年を上回り、6社が増収増益(図表7)。10社合計の売上高は前期比5.8%減となっているが、前期はマイナスであった営業利益、経常利益、純利益がいずれもプラスに転じ、改善傾向にあると思われる。
2021年3月期の見通しは、業績予想を発表した7社のうち4社が売上高は前期を上回るとしており、プラント・エンジニアリング業界では、新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響はそれほど大きくないと見られている。
ヒューマンタッチ総研所長 高本和幸氏(ヒューマンタッチ代表取締役)は、「2020年3月期の決算は、景気回復を背景に民間設備投資が増加し、政府の公共工事も堅調に推移したところに、東京オリンピック・パラリンピックの特需も加わり、6業種ともに好調な結果となった。第4四半期(2020年1〜3月)における新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与えたダメージは限定的で、各社の決算には大きな影響を与えなかった。しかし、2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与えるマイナスの影響が各業種ともに懸念されており、不透明感が漂っている」と指摘する。
2021年3月期の業績予想では、「総合工事業では6社が大幅な減収減益を予想している。総合工事業の業績は、電気工事業や管工事業にも大きな影響を与えることから、建設業界全体が厳しい経営環境になるのではないかと危惧される。しかし、社会インフラの老朽化や多発する自然災害への対策が必要なことから、政府の建設投資は堅調に推移すると予想されている。そのため、土木建設業は比較的堅調な業績予想になっているが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、政府の建設投資が削減される可能性もあり、予断を許さない状況にある」とコメントしている。
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