今期堅調も新型コロナで来期は大幅減を懸念、2020年3月期通期決算から見る建設市況産業動向(2/3 ページ)

» 2020年07月04日 05時00分 公開
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電気設備は9社が増収、5社が増収増益となり好調な決算

 電気設備工事業の売上高は9社が前年を上回り、5社が増収増益(図表5)。10社合計の売上高は前期比11.2%増、営業利益は7.7%増で、経常利益は6.4%増となった。純利益は8.7%減だが、これは協和エクシオ、ユアテック、中電工の3社で前期に特別損益として計上した経営統合に伴う、負ののれん発生益によるもので、売上高・収益性ともに電気工事業界は好調な決算だった。

 2021年3月期の業績予想は、8社が未定としており、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響については、不透明要素が多いとしている企業が大半を占める(図表6)。業績予想を発表した電気通信設備工事の大手2社では、コムシスホールディングスは売上高が前期比0.2%減、営業利益は同2.4%減、純利益は同1.9%減。協和エクシオは売上高が同0.1%増、営業利益は同2.9%増、純利益は同35.2%増で、比較的手堅く業績は推移すると予測。

【図表5 電気設備工事業主要10社の2020年3月期(連結)の実績】 出典:各社の2020年3月期決算短信より作成
【図表6 電気設備工事業主要10社の2021年3月期(連結)の業績予想】 出典:各社の2020年3月期決算短信より作成 ※「-」は未定

管工事は6社が増収、5社が増収増益となり好調な決算

 管工事業は、売上高は6社が前年を上回り、5社が増収増益(図表7)。10社合計の売上高は、前期比2.2%増、営業利益は同12.1%増、経常利益は同9.6%増、純利益は同6.4%増で、管工事業界は好調な決算だった。

 2021年3月期の業績予想については、8社が未定としており、新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響は、依然として不透明要素が多々あると考えられている(図表8)。

 業績予想を発表した三機工業は、売上高が前期比3.7%減、営業利益は同15.7%減、純利益は同14.2%減。日比谷総合設備は売上高が同10.4%減、営業利益は同45.8%減、純利益は同57.6%減と、減収減益の予想。

【図表7 管工事業主要10社の2020年3月期(連結)の実績】】 出典:各社の2020年3月期決算短信より作成
【図表8 管工事業主要10社の2021年3月期(連結)の業績予想】】 出典:各社の2020年3月期決算短信より作成 ※「-」は未定

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