現場監督として経験の少ない私が、この建物を作れたのは、Revitを使った施工BIMのおかけだと言える。Revitでモデルを作ることは、実は「考えたり、検討したりすること」と言い換えられる。どう納まるのか、どのような施工手順をすれば良いのか、足場をどうするか、安全をどう考えるのか、Revitでモデルを作りながら頭の中で思考する。そして、工事が思い描いた通りに進んでゆくのかを確認する。そういったものが、BIMモデルを作ることだと思う。
最初の社内での施工BIMの取り組みは実務展開につながらなかったが、実際に自分で取り組んでみると、とても役に立つツールだと実感した。この違いは、現場に常駐する担当者のRevitスキルに左右される。
ダイワユビキタス研究館でも、外部の優秀な設計者の協力で成果を出せた。これは、単に施工図や施工計画図を書くということだけでなく、モデルを作ることで、施工における問題点を解決しながら、さまざまな検討の場面でも、Revitのモデルを活用することができたからだ。
Revitによる施工図や施工計画図を外注しても、実際には3次元のモデルを使わずに、紙に打ち出した図面でチェックし、間に合わなくなると2次元CADに切り替え、その修正でなんとかしている。だったら、最初から2次元CADで図面を書けばいいのではないか。現場監督自身が、積極的にモデルを活用し、あらゆることを検討するツールとしたり、自分でRevitのモデルや図面の修正ができたりしなければ、施工BIMの価値は生まれない。現場監督がRevitを使うことは、想像できないと言われる方も多いが、私にはそれが、施工BIMを実務展開するための鍵だと考えている。
次回は、施工BIMの問題点を探る前後編の後編として、施工BIMの本質とは何か?施工BIMがどうあるべきかを説明してゆきたい。
★連載バックナンバー:
『BIMで建設業界に革命を!〜10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ』
■号外:【緊急提言】「新型コロナ」災害をBIMによる業務改革の好機とすべし!
■第3回:日本のBIM先駆者が定義する「BIMはチェンジマネジメントである」
■第2回:日本のBIM先駆者が示す「BIMが目指すゴールへの道標」
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