竹中工務店の東京本店オフィスが、2018年に新バージョンとなったWELL認証で、最高ランクのゴールドを取得した。
竹中工務店は2020年2月21日、2004年に竣工した東京・江東区新砂の同社東京本店オフィス(東京都江東区)が、米国の健康建築性能評価制度「WELL Building Standard(WELL認証)」で、「ゴールド」ランクの認定を受けたことを公表した。
WELL認証は、空間のデザインや運用に「人間の健康」という観点を加え、より良い居住環境の創造を目指し、アメリカの公益企業IWBI(International WELL Building Institute)が制定した評価システム。制度自体は2014年に開始し、2018年には評価項目や基準が見直されたバージョン2(v2)がリリースされている。
今回のWELL認証ゴールド取得は、新しい評価基準の(WELL v2)が適用された国内初の事例。同時に、これまでの国内での取得実績の中で、最大規模の建物となる。東京本店の規模は、S造地上7階/塔屋1階建て、延べ床面積5937.82平方メートル。
東京本店は、新築当時から都会の限られた自然と融和しながら、快適な室内環境の実現に取り組んできた。さらに、働き方改革を推進する中で、従業員の健康増進や生産性向上を視野に入れた改修工事にも、2018年4〜11月に着手した。
イノベーション工事では、WELL評価システムの専門性と高度な有する専門資格「WELL AP(WELL Accredited Professional)」の保有者を参画させ、緑と水を配置したワークラウンジや昇降式デスクと椅子の導入、DELIカウンター(サラダバー)の設置などの社内環境を整備した。結果、WELL(v2)の評価基準となっている空気や水をはじめとする10個のコンセプトと革新性の観点で評価され、ゴールド取得に至った。
WELL(v2)のコンセプト | 竹中工務店 東京本店の取り組み | |
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1 | 空気 | 喫煙所屋外化、エントランスマット、空気質検査、CO2制御など |
2 | 水 | 水質検査/管理、手洗い備品 |
3 | 食物 | メニュー多様化、DELIカウンター(サラダバー)設置、栄養成分/アレルギー表示 |
4 | 光 | 既設の光庭、タスク&アンビエン、など |
5 | 運動 | 既設の吹き抜け屋内階段、利用促進、昇降式デスク/椅子、外部の散策路/公園 |
6 | 温熱快適性 | 温湿度計測の継続、見える化 |
7 | 音 | 空調機器などの騒音対策 |
8 | 材料 | 新設家具や仕上材の揮発性物質の除去 |
9 | こころ | ABW(Activity Based Working)を導入したワークプレース、バイオフィリア(屋内の緑化)、メンタルヘルスのサポートプログラム、既存の光庭、アートワーク、授乳スペース |
10 | コミュニティー | 改修前後のインタビュー、事後の改変の継続、サイトツアー、BCP対応など |
11 | 革新性 | WELL AP(資格者)の参画、社員への啓発活動 |
WELL(v2)のコンセプトと竹中工務店 東京本店の取り組み |
竹中工務店は今後も、これまで取り組んできた「健築」の推進に加えて、WELL認証の実践による知見を生かし、健康面に配慮した建築(ウェルネス建築)の実現を目指していくとしている。
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