大成建設は、2014年に竣工した建物単体で年間の1次エネルギー収支がゼロになるZEB実証棟が、米国の「WELL認証」で最高評価のプラチナを取得したことを公表した。WELL認証は、空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、より良い住環境の創造を目指した評価システム。「新築/既存建物全体」という評価区分でのプラチナ取得は、世界初のことだという。
大成建設は2019年8月2日、神奈川県横浜市の技術センターの「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟」で、米国・健康建築性能評価制度「WELL認証(WELL Building StandardTM)」で最高ランクの「プラチナ」を取得したことを明らかにした。
WELL認証で、建物用途別に設定された3つの評価区分のうち、新築/既存建物全体(New and Existing Buildings)でのプラチナは、7分野・100項目の評価内容に対して、89項目以上を満たす必要がある。新築/既存建物全体(自社ビル向け)の評価区分でのプラチナ認証はこれまでに取得例がないため、世界初のことだという。
技術センターZEB実証棟では、オフィス空間としての建築・設備面、運用・健康面の性能が評価され、新築/既存建物全体でのWELL認証・プラチナ取得に至った。
建物性能の向上を図るため、新規にセンサーや設備機器を導入することで、オフィス空間で基本となる空気や水、光、温熱、音などの性能がWELL認証基準をクリア。また、自然換気システムや採光システム、個人の快適性を制御する空調・照明システムの他、生物や自然への愛好を表す概念「バイオフィリア」に基づく空間デザインを採用し、メンタル面に配慮している点も高い評価を受けた。
運用面では、良質な飲料水や保存・調理可能な食空間の提供、トイレ、水回りなど、使用頻度の高いエリアを主体とした毎日の清掃管理などの基本的な環境整備に加え、運動スペースやフィットネス器具設置による積極的な運動機会の提供、メンタルヘルスケアなど、働く人の心身を健康的にサポートする取り組みも認証取得につながった。
今後、大成建設は、WELL認証における空間の計画や運用に関するノウハウを生かして、オフィスの診断・評価によるコンサルティングから、設計、施工、運用に至るライフサイクル全般にわたり、人と環境に優しい空間づくりを支援していくとしている。
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