BIMの先に広がる可能性――。隈研吾氏の事例やGIS連携、入札アプリなどAutodeskが解説Autodesk University Japan 2019(1/5 ページ)

建設業界では、入職者数の減少や技術者の高齢化による退職数の増加に伴い、働き手が減り、従来より少ない人数で現場を運営しなければならない厳しい状況に直面している。Autodeskは、こういった現場の生産性を向上するために、BIMやジェネレーティブデザインなどの新製品の開発を進めている。2019年10月8〜9日、東京都内のグランドニッコー東京 台場で、開催されたプライベートイベント「Autodesk University Japan 2019」では最新のソリューションや活用事例が紹介された。

» 2020年01月16日 13時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 Autodeskは2019年10月8〜9日、東京都内のグランドニッコー東京 台場でプライベートイベント「Autodesk University Japan 2019」を開催した。2日目のゼネラルセッションのうち、オートデスク 代表取締役社長の織田浩義氏や米国Autodesk AECインダストリー担当 上級副社長のニコラ マンゴン氏、ビルディング ビジネスライン&プロジェクトデリバリー担当 シニアディレクターのビクラム ダット氏の講演を紹介する。

他分野の技術が建設業界で脚光

オートデスク 代表取締役社長の織田浩義氏

 冒頭、織田氏は、「労働人口の減少に起因した働き方改革は、全企業の最優先課題の1つとなっている。国内の建設業界では、2025年までの間に、20%の働き手が退職する。5人に1人がいなくなる中で、5年以内に、20%以上生産性を上げなければならない。世界中でBIM化の潮流が加速していることも見逃せない。業界のプレイヤーだけでなく、顧客もデータなどをBIM化していくことが求められている」とあいさつした上で、近年の取り組みを伝えた。

 オートデスクは2018年8月、大和ハウス工業と戦略的パートナーシップを締結した。BIMを用いて、発注者と顧客の満足度を上昇させていくとともに、働き方改革の実現を目指している。織田氏は、「大和ハウス工業では、全物件にBIMのワークフローを導入した上で、クラウドを活用し、設計・施工などの建設に関わる情報を一元化して、生産性と建物の品質を高める取り組みを推進している」と述べた。

2018年8月に大和ハウス工業と戦略的パートナーシップを締結

 ジェネレーティブデザインについては、「さまざまな企業が集合住宅の建築設計で使い始めている。日本の限られた敷地の有効活用と設計時間短縮のために、住宅のさまざまな仕様をジェネレーティブデザインで検討している」と触れた。

 また、これまで、メディアやエンターテインメントの分野で利用されてきたCG技術が建設業界でも利用機会を増やしている。

 「隈研吾建築都市設計事務所では、建築業界では珍しくインハウスのCGチームを有している。このCGチームはクライアントが、建設する建物を想像しやすいように、設計スタッフが精密なCGを作っている。CGにより、クライアントとの相互認識が深まるとともに、プレゼンテーションに説得力が生まれていると聞く」(織田氏)。

インハウスのCGチームを有す隈研吾建築都市設計事務所
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