垂直離着陸ドローンと1.5億画素の超高解像度カメラで次世代インフラ点検第3回橋梁・トンネル技術展

SkyLink Japanは、1.5億画素の超高解像度カメラとVTOLタイプのドローンを組み合わせた次世代のインフラ点検ソリューションを提案している。

» 2020年01月07日 06時17分 公開
[石原忍BUILT]

 ドローンの機体販売や産業向けドローンサービスを展開するWorldLink&Companyのドローンブランド「SkyLink Japan」は、「第3回橋梁・トンネル技術展」(会期:2019年11月27〜29日、幕張メッセ)に、フェーズワンやジェピコと共同出展した。

毎時150キロで120分の長時間飛行を実現

SkyLink Japanのブース

 ブースで目玉となったのは、広範囲測量の次世代ソリューションと位置付ける独Wingcopter(ウイングコプター)製の固定翼VTOL機(垂直離着陸機)「WINGCOPTER 178 Heavy Lift」。SkyLink Japanでは2019年6月に国内販売を開始しており、主な用途としてはインフラ点検や写真測量、海外で実証実験が進められている医療品輸送などの物流など、幅広い産業で今後の活躍が期待されている機体だ。

「WINGCOPTER 178 Heavy Lift」

 最大の特徴は、VTOLという点で、着陸時の滑走路が要らず、折りたたむこともできるため、マルチコプターと固定翼ドローンの両方の強みを備えている。飛行速度は毎時150キロに到達し、飛行距離は約100キロ。120分もの長時間飛行が可能で、これまでに無い広範囲エリアの測量や災害の被災地を遠方から現地調査することなどが実現する。

 WINGCOPTERシリーズのうちLiftモデルは、標準機のWINGCOPTER 178のペイロードを最大化。自重6キロに対して離陸重量16キロで、最大6キロまで積載できる。機体のサイズは高さ52(高さ)×幅178(幅)×132(奥行き)センチ。

専用BOXへ折り畳んで運搬 出典:SkyLink Japan

 飛行方法は、特許取得済みのユニークなティルトローターのメカニズムにより、マルチコプターモード(ホバリング)と固定翼モード(前進飛行)に一瞬で移行する。毎秒20メートルまでの強風でも、安定してフライトする。仮に前進飛行のときに、高高度で突風に見舞われても、翼長178センチのコンパクトかつ頑強な設計から生み出された毎時150キロの飛行スピードで、風に負けることは無い。

 SkyLink Japanでは、WINGCOPTER 178 Heavy Liftと、フェーズワンの1.5億画素カメラデバイス、KLAU Geomaticsの後処理方式高精度測位システム「KLAU PPK システム」を組み合わせて提案する。

 デンマークのカメラメーカーフェーズワンのカメラは、土木・建築の構造物の点検に特化した1億5000万画素の「iXM-RS 150F」。超高精細(14204x10652)裏面照射型CMOSセンサーで、2fpsの高速キャプチャーレートと高感度特性により、広

範囲にわたる航空撮影に適する。その高解像度により、50メートル離れた場所から、0.2ミリ幅のクラックを撮影することができるという。

 一方のKLAU PPK システムは、DJI製品をはじめ、あらゆるドローンに装備可能な「KLAU PPK Unit」と、取得データを後処理するソフト「KLAU PPK Unit」で構成。地上の基準点を減らせる仮想基準点を用いた後処理キネマティック方式を採り、RTKのように4G LTEの確保や基準局の設置も必要ない。WINGCOPTERのような数キロに渡る飛行範囲でも、取得したデータの正確な位置情報を後処理で付与することができる。

 会場では他に、非GPS環境下での点検を可能にするACSL製の小型機「Mini」も紹介。ACSL独自の画像処理技術を使用した自己位置推定技術「Visual SLAM」により、室内や工場、橋梁(きょうりょう)下部など、狭くGPS/GNSSデータが取得できない場所でも自律飛行での点検を可能にする。

ACSL製「Mini」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.