国が示す「空の産業革命のロードマップ」では、2022年度に最終のレベル4「有人地帯での目視外飛行」を目標に置く。現状、ドローンスクールでは操縦者の育成に努めているが、その先の自動航行が実現すれば、パイロットに求められる役割やスキルも変わることが予測される。
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東京都主催の「産業×ドローンセミナー」が2019年7月2日、東京都庁第1庁舎大会議室で開催された。セミナー後半では、東京・お台場でドローンスクールを運用しているハミングバードと、万一ドローンが落下したときの備えの保険対応について東京海上日動火災保険が講演した。
お台場ヴィーナスフォートでドローンスクールを運営しているハミングバードは、代表取締役・鈴木伸彦氏が「来るべきドローン自動航行時代に向けたドローン操縦士の在り方」について語った。
ハミングバードのスクールは、国土交通省に「管理団体」として認定されているドローン操縦士協会(DPA:ディーバ)が定めたカリキュラムを提供している。完全室内で数日間にわたり、「操縦技術(基礎25項目+応用20項目)」と「操縦知識(座学10科目+試験50問)」のプログラムを展開。鈴木氏がスクールで重視しているのは、「安全、法令順守、公正のマインド醸成。こうした意識が低いと、気象条件を無視して飛ばすなど、過信から事故が起きる」と強調した。
国が示す空の産業革命のロードマップへのDPA資格の対応では、レベル1/2は「回転翼3級」、レベル3は「回転翼2級(予定)」、レベル4は「回転翼1級(予定)」となっている。レベル4では、操縦だけではなく、ソフトウェア自動航行という新たなスキル習得も設定されている。
鈴木氏は、「これまでの手動操縦であれば、オペレータは“ドローン操縦士”という位置付けで良かったが、自動航行の時代には“ドローン運行管理士”へと変わらなければならない。自動航行が当たり前の世の中になれば、自動航行と手動航行、無人機と有人機が空中で混在し、安全運航を管理する者の存在が必須となる。操縦士の技能をベースに、さらに運航管理システム(UTMS)やソフトウェアへの理解の他、電波/気象/センサーの知識を有し、リスクマネジメントもできる新たな職種が求められる」と提言した。
自動航行によって操縦士の役割は無くなるという意見もあるが、「安全の観点からも、操縦士の技能は今後も必要となっていく。各社ドローンアプリへの対応も含め、安全航行を実現する人材育成のスクールにしていきたい」(鈴木氏)。
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